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第8話 海パンのブリーフタイプとビキニタイプの違いが良く分からない。

 体育の時間。

 水泳の授業は今年初めてという事もあり、細身で妻子持ち、四十六歳の体育教師・小林先生の説明から始まると、続いて準備運動へと、それは淡々と進められて行った。

 唯一、女子の間に真っ二つに分かれる問題を残しては…

 「何アレ?」

 「何か先生強調し過ぎ。無理矢理見せようとしてるんですけど!」

 「ねえ、唯香。あなた委員長なんだからなんか言ってよ」

 「へ? 私?」

 「そうそう。アレは問題だって」

 「何で? いいじゃん♪ 先生、大人のもっこりを折角見せてくれてるんじゃん。ほっとけほっとけ。委員長何も言わなくていいからね~」

 準備運動、屈伸をしながらボソボソと話し合う女子の声。

 学級委員長・片倉唯香自身の名前も出たが、今は正直それ所ではなかった。橘いすゞの『男子の前で水着を思い切り引っ張り上げて、食い込ませろ』という命令が、頭の中で響き続けていたからだ。

 「唯香はどう思う? アレ」

 溜息混じりに準備運動をする唯香に、隣の女子が声をかけながら視線を前で準備運動している小林先生に向ける。いや、正確には小林先生の海パンに向けた。

 そう、それこそが今や女子の間で問題になっている事柄だった。

 細身だが筋肉質の小林先生は、日に焼けたその体が少しばかり自慢だった。

 なので、海パンもボディビルダーの様にグリーンにラメの入ったブリーフタイプのものであった。

 (補足・しかし小林先生の名誉の為にあえて付け加えるとこの海パンは、ブリーフタイプではあるが、俗に言うスリムやビキニという程、際立った海パンではない)

 更に狭い所にギュウギュウに押し込まれた刺激で、その海パンに隠されたものはそれなりに硬くなってしまったのか。先生が準備運動で体を後ろに大きく反り、腰を前に突き出す様な格好になった時には、その部分はまるで、海パンの頂点でもあるかの様に、三角に大きな山を作り出していた。

 「げっ!」

 隣の女子に促されて、それをまのあたりにした唯香は思わず声を出した。

 (まったく! ウチの学校は生徒も先生も!)

 「み、見ないようにしよう。あそこは見ない」

 委員長としての唯香は、もはや疲れ果てていて、それだけ言うのが精一杯だった。

 「えー、なんで? もっこりだよ♪ もっこり♪ ウチの男子とは比べ物にならないサイズだよ♪」

 中にはこの様に喜んでいる女子もいるので、大きく意見は二つに分かれているのだ。



 「よし! じゃあ今日は最初だから、先ずは交代交代に十分ずつプールの中で自由時間にします。とりあえず久し振りだから水に慣れよう」

 準備体操が終わり、小林先生がそう言いながら女子の方を指し示すと、一度は座っていた女子達が一斉に立ち上った。

 「よし。プールに入れば先生のもっこりも気にならなくなるね」

 「いやいや、プールの中で先生のもっこり見るのもおつですぞ♪」

 「何そのおつって~」

 相変わらず小林先生のもっこり海パンに盛り上がる女子の中で、一人時間が経つにつれ、この世の終わりの様な顔色になって行く唯香。

 「どうしたの唯香? 今日は特におかしいよ」

 プールサイド、水際に立ち、今まさに腰を下ろして入ろうかとしていた唯香の横に並ぶ様に立つと、クラスメイトの木野すずめが声をかけて来た。

 「特にって何よ。特にって」

 振り向いてそう言いながらもいつもの覇気がない唯香。

 「あららら、こりゃ重症だね~」

 いつものテキパキとした委員長振りを知るすずめはそう言うと、「にゃははは」と、笑いながら唯香より先にプールに足をつけた。



 「ふーん。最初は女子からね」

 フェンスに背を持たせ掛けながら、足を横に向けて腰を下ろしていたいすゞは、独り言の様にそう言うと、スカートのポケットからおもむろにオペラグラスを取り出した。

 カードケースの様に折り畳まれていたそれを、パチンッ! と音を立てて片手で広げると、目に当てて覗いてみる。

 「望遠だよ、望遠。ワイドだよ♪ よし、この眺めなら男子の時は十分楽しめそうね♪」

 オペラグラスでプールに入り始めた女子を眺めながら、いすゞは相当古いCMのネタを混ぜて、一人ニヤニヤと話していた。

 「さてさて、私の奴隷ちゃんは何してるのかしら♪」


 因みに橘いすゞにとって小林先生のもっこり海パンは、鑑賞の対象には入らなかった。

 


              

                   つづく

 


 

  

読んで頂いて、有難うございます。

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