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第3話 それはスリップです。

 そーいう訳で、舞台は翌日の体育の時間へと話が移ります。

 お昼休みが終わり、午後の最初の授業である体育は、いすゞの望み通り、プールだった。

 プールサイドにある更衣室は、ブロックの壁を1枚隔てて、男女に分かれている。

 いすゞは今、女子更衣室の中で、ジッと腕を組みながら、その壁を凝視していた。

 「着替えないの? 本当に見学するつもりなの?」

 友達のいない橘いすゞが、一人ぼっちでいると思った面倒見の良い学級委員長・片倉唯香は、結局の所、また声を掛けてしまった。

 「駄目だわ。この壁、鉛でも入っているのかしら? 全く透視出来ない」

 唯香の言葉に独り言の様にそう呟くと、いすゞは唯香の方を振り向いた。

 「おいおい」

 その呟きに思わず苦笑いをする唯香。

 その姿は既にスクールシャツを脱ぎ、白のスクール用スリップという出で立ちだった。

 「何それ! 妙にエロいのは!」

 スリップに反応するいすゞ。

 「え、ただのスリップよ。何?」

 振り向いたいすゞが驚いた姿にこちらも驚く唯香。

 (え? 何? 私何処か変? 何かおかしな格好でもしてる?)

 次に何を言われるのかドキドキしながら待ち構える唯香の前で、驚いていたいすゞは、今度はスカートのポケットからスマホを取り出して、何やら調べ始めた。

 「あった」

 検索して直ぐに目的の物が見つかったのか、いすゞは小声でそう言った。

 それから、スマホの画面を唯香の方に向けて話し出す。

 「それはスクール用スリップという物ね。似た様なのにスクール用シミーズというのもあるけれど。こちらのデザインはあまり良くないわね。シミーズの場合ブラと併用しないと書いてあるけれど、スリップは良いのね。貴女もブラを付けてるみたいだし、肩紐が二重になっているから。胸はちっちゃいけど」

 話の最後でいすゞはニヤリと笑った。

 胸の話に一瞬唯香はカチンと来たが、今回は比較的ちゃんとした話だったので、堪えると笑顔で言葉を返した。

 「可愛いでしょ♪ 女の子の身だしなみよ」

 「でも今やブラのみで、着けている人は殆どいないと書いてあるわ。昭和末期頃までは必需品だったって」

 「昭和末期!」

 いすゞはまたもやニヤリと笑い。

 唯香は昭和末期という言葉に恥ずかしく、顔を赤く染めた。

 「さすが田舎ね♪ 見た所、他の娘も何人か着けているみたいだし」

 周りで着替えているクラスの女子をキョロキョロ眺めながら、いすゞは言った。

 「悪かったわね! 田舎で」

 ムッとした顔で唯香が言う。

 「馬鹿にしているわけじゃないのよ。寧ろこれは掘り出し物よ。とてつもなく幼いエロさを感じるわ。その中に付けているAカップの地味なブラよりね♪ これはアイテムとして使えるわ」

 「アイテム?」

 いすゞがポロッと漏らした言葉に思わず唯香は聞き返した。

 「あら、思わず言っちゃった。何でもないわ。まだ教えられない。忘れて」

 そう言うといすゞは慌ててスマホをポケットに仕舞った。

 唯香はその様子をキョトンとして不思議そうに見ていたが、周りの女子が既に水着に手を通している姿に気付くと、慌てて胸元の白いリボンを揺らしながら、フリルの付いたスリップを、腕を上げて脱ぎ出した。

 その様子をニヤニヤしながら眺めるいすゞ。



 その頃男子の更衣室の方では、申し合わせた様に、岡田靖之と、橘いすゞアイドル化計画実行委員会のメンバー、浅野・井上・上田・遠藤・小野が、いち早く着替えを終え、海パンに巻きタオルを持って、プールサイドに出て来ていた。

 「いいか? 狙いは長谷川悠利だ。間違えるなよ」

 「ああ、分かってるさ」

 「「「ああ」」」

 岡田の言葉に浅野が答えると、その他のメンバーも相槌を打つ。

 「自由練習のゴチャゴチャのタイミングで、奴を沈めて海パンを脱がせる」

 「そいつはいい♪ アイツは女みたいな奴だから、どうせまだ毛も生えてないだろう♪ いつも我らがいすゞちゃんの視線を独り占めにしている罰だ」

 岡田の言葉に浅野は上機嫌になってそう言った。

 「へへへへ」

 「面白そうだな」

 「ちっちゃいちんこがポロリか♪」

 「プールから上れなくて泣いちゃうんじゃないのか? はははは」

 盛り上がって口々に言う橘いすゞアイドル化計画実行委員会のメンバー。

 その様子を不敵な笑みを浮かべながら眺めている岡田靖之。

 「さて、橘いすゞはどう動くかな?」

 



                    つづく



 挿絵(By みてみん)

読んで頂いて、有難うございます。

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