動き始めた驚愕の構想
少し厳しい顔をして言ったのが、少し頑固で通っている、脇田博士だった。工学の天才博士と呼ばれている。
「まあ、正確に言えばそうですね、失敬。でも、SKAの技術が大きいと思う海底ノジュールだからね。そこは感謝していると言う意味ですよ、脇田博士」
「まあ、そこは良いよ、で?無線LANはどこまで行っているの?これは、誰に聞けば・・?」
岸山はストレートなもの言いをする人物だ。悪意を持っている訳ではない。やはり滝沢と同じく、サヴァン症候群と呼ばれる天才型の工学博士なのだ。
「あ、それは私が答えます」
手を挙げたのは妻鳥麗華であった。
「そこは、今村博士が、遺伝子改良を加えた単体細胞を利用する。一指令のみ伝達する生物型LAN方式で、既に情報的なものは、ほぼアジア圏内であれば例外無く網羅出来ています」
ここは、羽山博士・・小柄で植物学・免疫学等の権威。やはり優達の同年代。
「じゃあ、今村博士の方に聞かなきゃ。今村博士、それはどの国も開発がされていないと言う事ですか?我が国だけの試みですか」
「そうです。他国には恐らく真似が出来ないと思います」
その今村の強い言葉に一同が驚きながら、伴見博士・・宇宙工学・全般にも幅広く知識のある万能型=三木 優タイプの少しやせ型黒メガネの博士で、この中での最年長だ。
「今村博士のその研究は、第一人者であると周囲も認識しておりますが、誰も真似る事が出来ないと?」
江塚博士も同じ質問をした。妻鳥麗華と並ぶ女性博士で、長い髪の色白美人・麗華の友人でもある。