SF編 ある計画 いざ・・
美登は、声の主『ゆう君』に、
「ふふ・・とんでもない方達ばかりだし、お義母様も一緒なんだもの。緊張しっぱなしよ」
「はは、成程。でも、そう言う場では母も殆ど自分は出さないからさ」
「ま・・でも、一言一句には気をつけておかないとね。それぞれに皆さんはとても鋭い方ばかりだもの、そこには理想論、夢想論等一喝されてしまうから、ふふ」
「そうだね、ふふ」
美登は笑った。優もにこりとする。
「板橋さんの室長就任には、相当のプレッシャーがあったようだね。美登が座長をするとなると、全員が年上だし、確かにその専門分野では皆さんが第一人者だ。その一言はとても重いもんね、分かるよ」
「その壁を壊そうとしているのだから、恐らくこれから先とんでもない事も色々あると思うのよね」
美登は嘆息した。
「まあ、何事もだけど、既成の概念を破るって事は大変だよ。だって、無かったものに道をつける作業だしね。そして、それは確実性も要求されて行くんだから、大変な役目を負ったものだよ」
「ゆう君も、私と一緒にやっているものがあるけど、それがこちらと関連して来るなんて、誰も思わないでしょうね」
「うん・・そうだね」
優と美登は、早めにこの夜は就寝したようだ。どうやら、会話の中でもとんでもないプロジェクトが進行しているのだなと、感じる会話だった。
そして、1週間もしない内に、美登の最大の理解者である永井から、板橋を通じて連絡が入った。農業関連部門の個別会議である。美登はやはり黒塗りの車で、同じビルに入った。既に永井は到着しているようだった。
「早いですね、永井さん」
美登は笑顔で着席した。この席には板橋が座ると言うのはお決まりのようなので、少し二人の仲では、会話としてはざっくばらんな形には出来ない。ここは少なくても公としての場として位置付けているからで、会話内容は全て記録もされるからだ。