SF編 ある計画 いざ・・
「勿論、インフラが整わない誘致等は、意味を成しません。公共事業投資とは即ち、大手のゼネコンだけに資金が流れるのではなく、そこに地場における農業耕作場専有の企業を誘致する、その仕組みを作るのが一点。そこではすぐ環境破壊の声も挙がるでしょうが、農作物を作っても、害獣等に荒らされ益々、中山間地域の農業は衰退しております。そこに耕作面積の拡大、集約と、機械化も2点目にあります。次に米作で食べていけないと言うのならば、その地に適した野菜等の栽培も推進する事になります。又、これには細かい今資料を準備中ですが、大きな法人と言う組織も必要となって来るでしょう」
「お待ちください。そんな議論でしたら、とっくの昔からやっている事ですわ」
そう言ったのは峯井百合子だ。美登より3歳上になる。この中では若い方の者だ。
「はい、やっておりますね。でも、そこの地盤とは各地・各所・JAが中心のほぼ公的機関が主であって、市場の流通に対し、第一次産業に本来の利益が還元されない仕組みがあるからです。この組織自体を見直すと言うものも次に出て来ますので、又後でその事は議論したいと存じますので、先に進めたいと思います」
美登は、だからそこの部分は説明もするので、今は聞いてくれと言う口調だった。それは三木未優に今何も言わせていない深い案があるからだと思われる。
「まず、組織、そして人口流入を考えるには、日本の国土は広く気候も様々です。そこに山があるからと削れば、土砂災害や、環境破壊もあるでしょう。また村社会の根本を崩しては、そこにあった伝統や行事等も消えていく・そんな懸念は山積みです。しかしながら、それにずっと反論し続けていても、議論等は結論に出ないものとなり、先送りになるだけであり、現状は更に深刻になって行く。つまり、誰も主導的役割を果たして来なかったからです。インフラは大事です。そこに物があってもコスト高、利便性の無いものは衰退します。故にそれを繋ぐネットワーク的な部門が要求されるのです。これを官でやれとは言いません。民間に活力を与える施策を提供するのが官の役目だと任じる訳です。それならば、今の日本国内のそう言う遊休地をどう活用して行くかの議論は、既に着手しておりますので、部門会議の設置を提唱したいと思います。即ち、この税制調査諮問会とは、最終的には税収アップに繋がる理論の場になると思うからです」
一同が黙った。
三木未優は、
「じゃあ、板橋室長、この諮問会の座長は美登さんと言う事ですね?さしずめ私は法律の整備の提言かしら、墨田さんは、経済部門、永井さんは、農業・畜産部門、峯井さんは、林・漁業関連部門、流尾さんは、税関連部門、談さんは、雇用促進部門、佐川さんは工業・商業部門ね」
「あの、三木未優さんは、この諮問会を知っていらしたような口ぶりだけど・・」
墨田が言う。