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あるパブの中で  作者: 白木克之
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そして、美登

 3人会の中で、本当に久しぶりに浜田食品夫人と美登は会っていた。以前のような会合は最近余りなく、今回美登が浜田夫人に会った理由は、やはり、彼女もSKAグループの一員だと言う事だ。これは、公になる事は無い。企業としてのスタンスはあくまでグループとしての位置づけでは無い。取引企業の中の一社に浜田食品㈱が居ると言う事である。


「うふふ・・あの島教授が、全く反論出来ずに居たじゃない。著書をあの討論会前に8冊あるのよね、1日で全部見たらしいわよ」

「え!全部それを1日で記憶したと言うんですか・・もう超天才ですよね、三木未優さんは」

「記憶は、彼女の場合は必要な時に集中するけど、脳内のどこかに保管庫があるようなの。一度覚えたら、消える事の無い図書館のようなもの。常人では無い事はもう分かるけど、だって、美登さんもお持ちでしょう?情報力と言うのは、記憶にどんどん蓄積して行く。でもね、それをひけらかす事は無いと言うのが、お父様の教えらしいのよ」

「あの・・それこそ、三木未優さんすら遠く及ばないと言う沢木 純氏の・・」

「そう言われるのを一番嫌っていたのが、その沢木さんなの。知識とはひけらかすものでは無い。それを使えてこそやっと生きる・・私も門下生の一人だわ。そこで今はSKAグループの一員だけど、*KS食品㈱の研修で、沢木さんに指導を受けた時の言葉なの。私も語学を学んでいたし、海外にも派遣され研修して来た事を、発表する席で言われたの」

「少し、教えて頂きたいですわ。もう何か私の中では沢木さんが神格化してしまっていて」

「ああ・・それがいけないの、美登さん。初めて貴女にお会いした時の印象と今の貴女は違うけれど、人と接する時は、常に自分を前面に出すなと言う事を言われたの」

「え・・それは?」

*閃きの中で


 美登はその言葉を追いきれなかった。


「三木未優さんね・・お父様に強く言われた事があるそうなの。私も一緒に仕事をした時期があって、年も私が彼女より一歳上なんだけど、当時からあのようにポーカーフェイスで近寄り難い雰囲気だった。そして、色んなあの時は法律相談所も無料でやられていたから、アドバイスもするんだけど、もうそれは完璧に近い回答をする訳よね」

「それは・・立場上・・はい」

「でもね、沢木 純氏は違った。にこにことして相談者の自分が言いたい事、悩んでいる事をしっかり聞いてあげていたのよ。その上で、同じ回答ではあるんだけど、相談者はとても至福そうな顔をして帰って行かれた。つまり、人と人の応対とは、自分がその人を見抜くのでは無く、人が自分と言う存在に近づいてくれる雰囲気が必要なんだと。その人の意見を真っ向から否定しては、心等解放されないし、言葉も委縮して出ないんだと。美登さん、それは貴女にも当初あったわね」

「は・・い。何となく分かって来ました」


 美登が頷いた。


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