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あるパブの中で  作者: 白木克之
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新章 西条との再会から・・

「まあ、政治と同じですものね、どんな世界においても、又組織においても、確かに派閥と言うものは存在するし、むしろ良い意味でならそれは歓迎できる。しかし、反面自分の意に反する者を排除するのは、独善的、先制君主的な方向性。つまり、島先生は後者なのよね。私は、西条先生に言われるまで、むしろ私も利用される側でも良かったのよ。だって、それはお互いにとってフィフティ・フィフティの関係が築けると思ったから。しかし、やはり私は竜胆総理の娘であり、少しばかりマスコミにちやほやされたからと言っても、単なる広告塔に過ぎない、世間知らずの若輩者なのだから」

「そこは、強く否定する。美登さん程の方は巷にそうそうに居る訳が無いわ」

「うふ・・有難う御座います。でも、何となく分かったわ、永井さんの今の情報で。島グループは大きく今3つの派閥に分かれていると言う事よね」

「まあ、大まかに言えばそうなんだけど・・美登さんにはもう見抜かれていたのね・・」


 永井はここで嘆息した。


「永井さん、島先生の正しく歴史を知ると言う活動だけど、否定する気は無いわ。それは今までも、これからもそうだけど。でも、その為に貴女もそうだけど、突出した優秀な学者さんは沢山いる。名前は言えないけど、学術会議のリーク話は、私に島グループ内での方向性の違いより、反目する者達が居て、その動きが顕著になって来たらしいと言う事。あのね、会社なり、組織になれば、やはり絶対的なカリスマが居る。何故ならそこで賃金を得ると言う事は、そこに逆らえば組織からはみ出されるからよ。そして出世も出来なくなる。宗教でも同じ、教義に逆らえば、その地位は、はく奪もされるし、追い出される。全ての仕組みはそこから成り立つ。その点で言えば、確かに島グループにはそこで資金的なるものを得、個人が益を求めるものでは無いが、結局の所、自分が上に立とうと、組織を牛耳ろう、仕切ろうと言う者達が出て来る。がんじがらめの組織で無い以上は、結局の所は一体何を求めて活動しているのかの意義すらぼけてしまう。私が永井さん達と接触し、そして社団法人活動の寄付的な資金も提供して来た中には、確かにとても必要な資材、資料、活動費もあった。だけど、それはリーク合戦をする事じゃないと、この3年間の中で疑問に思って来た事なのよ」

「そこまで・・美登さんが見抜いていたのなら、もはや島グループなんて必要も無い事よね。でも、私は自分が中心となって活動は続けて行くわ」

「永井さん、じゃあ、そのまま社団法人の理事に残るべきよ。足場はそこにある」


 美登は、永井にはこれまで通り付き合うと約束をするのだった。

 あれ程尊敬すらしていた島が、とんでもない俗人であった事を美登は知り、ショックも受けていたようだ。しかし、少し違和感を持った時よりその瓦解は始まっていたのかも知れない。確かに、ある意味で天才なのであろう。他人の論文を自己のものとして修正を加え新たに論文を出す。実はこんな事はどこにでもあるものだ。どこかに引用文、参照文の無い論文等は無いのだから。


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