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出会い
別にこんな話題で討論する気など、由利子には全くなかった。気まぐれに飛び込んだ一夜限りのパブでしかないのに・・。
「俺は・そう言うジャズは嫌いだ。」
苦い表情をしながら加藤は答えた。
もっと別の返答を待ちかまえていた由利子にとって、はぐらかされた格好の答えだが、早々にここを立ち去ろう・・彼女はそう言う気になって、
「あら・・だって。」
「嫌いなものはどうしようも無い。寂しいジャズは俺にとっては、ジャズでは無いんだ。疲れた心、体を癒してくれるもでなくてはならない、そう言う音楽で無くてはならないんだ」