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ルポライター
「どうした・泣いているのか?」
「泣いてなんかいない。でも貴方は無礼だわ」
「謝る気はないさ。さあ、どうする?俺の言葉に怒るより、この現実を見て、ただ狼狽するしか無い君は、この場所から一歩も進めないと、正直に言ったらどうなんだよ」
圧し被せるような吉成の言葉が続く。
「なっ・・何よ!どいて!」
再び勝ち気を取り戻した美登は、横に立つ吉成をどかすと、階下へ降りた。10坪程のフロア
ーは、正に半狂乱の坩堝であり、美登は異質な来客でしか無かった。ただ呆然と立ち竦む彼女だっ
たが・・




