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あるパブの中で  作者: 白木克之
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第五部 登壇の巻

 この件は、美登が講演を席捲すると言う形で報道され、ネット関連ではアマラ信教の姑息な普及活動の全容と言う形で生中継まで拡散された。一方的に反論すら出来ず、全く見知らぬ無名の政治評論家、画家、宗教家とは何者なのだと言う追求すら始まった。こちらは、黄色いTシャツを着ていた複数の者がアマラ信教の信徒である事も暴露され、彼らは美登の名声を借りた布教活動を画策していたのだと吊るしあげられている。もはや、これほどあからさまにいかに言い訳も出来ぬ今回の事は、自分達の機関紙にどう美辞麗句を並べ立て、取り繕うとしても、もはや取り戻せないばかりか、河原崎陣営の選挙応援にも大きく取り上げられる事になる。またアマラ信教が複数の信者からの訴えにより、違法な集金活動も取り上げられていた。河原崎はまたしても美登に肘鉄を食らったのである。


「誰だ?今回の仕掛けは、アマラ信教と選挙応援まで言及され出した。県議か?市議か?こんなつまらない布教活動に翻弄されてしまったのは・・それにしても、安永家まで絡んで来るとはどう言う事なんだ」


 河原崎は、自分の派閥拡大の為にあらゆる手段を講じていた。その為、当然持ちつ持たれつの関係にある宗教団体との互助関係も確かにある。アマラ信教は信徒100万人を超える新興宗教であるし、多額の選挙応援や寄付もある。切れない関係だ。しかし、広告塔として美登を利用するのは、竜胆側にもアマラ信教の応援をして貰っている議員も居るが、それが自分の方に多く、逆に叩かれる事となった。それが複数の県議である事を知った河原崎は、安永家がどう動いているのかを今回探っていた。

 しかし、そちらも良治に先手を打たれていた。

 その県議に、公共事業の談合汚職疑惑が出たのである。これで身動きが取れなくなった。勿論それが安永家の仕掛けとは気づかない。その要するに主導をしているのは、河原崎派の国会議員まで行くからだ。

 美登は、今回の件で、良治にとても感謝していると伝えた。それにより、良治と美登の関係は少し前進したのかも知れない。逸見の事も感謝しているし、逸見はこの年にソロデビューする事が決まっているし、バンドも解散する予定だ。新たにコンサートで組んだメンバー達がバックバンドとしてソロコンサートで演奏を行う。彼は、もう第一線に実力派のギタリストで躍り出たのである。美登との関係はどうか・・と言えば、進展は殆ど無かった。互いに好きあっている事は分かる。しかし、それは簡単な事では無い。この講演騒ぎを見てすら、逸見にとって美登は自分一人の女性では無い。多くの若者に支持され活躍するルポライターとして・・否、もっと幅広い活動を展開する大きな女性なのだ。だから、もし、そうなったとしても今では無い。そして、今一番近い所に居るのは良治なのかも知れない。彼女をサポートし、且つ理解・行動出来る男だからだ。

 美登は、久しぶりに父竜胆と食事をしていた。


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