67/803
ルポライター
吉成の抑揚のない声が美登の背後から聞こえる。
「こ・・これは」
美登の声が震えた。しかし、無意識に彼女はカメラを手にしていた。
「駄目だ!」
途端に吉成の厳しい声が飛ぶ。
「なっ、何故よ!私には報道の義務があるわ。何がいけないのっ!」
美登の狼狽した動揺が、そのまま反射的に言葉に出ていた。
「何が義務だ!彼達の何も知らずして、薄っぺらな表面だけで見るなと俺は言っただろうがっ!」
吉成の言葉が余りに激しかったので、思わず彼女は言葉を呑んだ。そして、目頭が熱くなった。 これ程無礼に厳しく、又激しく自分に対する者はこれまで居なかったからだ。




