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あるパブの中で  作者: 白木克之
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第四部その2 再び政争の中に

 永井はフォローを忘れなかった。

 聴く者は、そう言う視点もある訳だ。熱狂的なファンが居る中でプロのレコード会社も招いている会場では、そう言う厳しい意見も必要だった。良治の立場も美登は理解出来るのだった。そして、二曲目、三曲目と会場は魅了されて行く。これは、逸見 隆と言うソロアーチストのコンサートだと言い切っても良いと思える位際立ったものだと美登も感じたし、恐らく全員がそう思っただろう。

 そして、6曲目に逸見 隆のソロギター曲が演奏される事になる。


「ここまでHDIAとしての5曲の新譜を演奏して来ました。これは、このコンサートの為に作曲した、自分のギター曲です。聞いて下さい」


 そう言うと、うって変わった会場の静まりの中で、語り口調のように逸見の高い声が響き渡り、ギターのソロ演奏が始まった。


「うわ・・・」


 美登は言葉を飲んだ。圧倒的なギターテクニックによって奏でられる曲は、美登が聴いた事の無い音域とリズムであり、それこそ逸見と言う自分の知らなかった一面を見た気がした。美登の両眼から大粒の涙が零れた。良治は、あ・・と思った。この感覚は、良治と美登と違う事は誰にも分からない。永井も黙っていた。


「わあああっつ!」


 大拍手が起こった。逸見が認められた瞬間だった。既に逸見には複数のレコード会社や、プロダクションからの話がこの時あったと言う。


「凄かったわ・・これが逸見 隆・・」


 永井が率直な感想を言った。美登は黙って頷いた。


「美登さん、御免なさい、貴女の涙を見て私も応援したくなっちゃった・・」

「え・・」


 その応援の意味を美登と永井の感覚も違ったものだったが・・良治と永井は、ほぼ同じ事を思っていたのだろう。


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