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ルポライター
「美登さんが、どうとろうが、そしてどうしようが、俺に強制する権利は無い。でも本当に貴女が、真実を探求する為に行動しているのだったら、俺と言う人間は、きっと役に立つはずさ。ついて来るか、来ないかそれは貴女の勝手だ。俺はじゃあ、行くから」
そう言って吉成は歩き出していた。美登が嘗て遭遇した事が無い全く異種の人種・・しかし、危険極まり無いこの男に何故か美登の足はついて行っていた。自分の今までの体験を、覆すかも知れないものを吉成が握っている可能性ー。美登は考えていた。ぷんぷんと感じる危険な匂いの一方で、ルポライターとしての自分に挑戦状を叩きつけた、彼に対する記者根性もめらめら沸き起こる。夏の日光でモヤのかかった様な、コンクリートの街を重いカメラを抱えて後を追う美登。




