5/803
出会い
その言葉に加藤も、由利子に好意を持った様だ。瞳に優しい光を浮かべた。由利子は少しどきんと胸がなった。加藤の端正な横顔に、やや彼女が入って行けないものを感じとっていたからだった。
「やあ・・気が合いますね。俺も学生時代から夢中でしてね。この店は小さいが、品の良いジャズを聞かせてくれます。」
「ここへは良く?」
「ええ、週に一度は来ます。」
「・・お一人で?」
「は・勿論ですよ。ジャズは本来、一人で楽しむものだ」
加藤に恐らく他意は無いのだろう。正直に答えただけだったのが・・