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あるパブの中で  作者: 白木克之
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出会い

 加藤にもその涸れた涙が蘇り、頬を伝う。


「・・分かるわ、貴方の気持ちが。私もそうだったから・・御免なさい、貴方の眠りを私が覚ましてしまった・・・」


 由利子の頬にも涙が流れた。酒のせいではない。飲まなければ、背負う事の出来ない哀しみに堪えられない、出会うべくして出会った二人がここにいるだけだ。マスターがキーを置くと、黙ってパブから出ていった。


「君のせいではない。俺の気持ちの中では、やはり美弥子の気持ちが昇華して無かったんだ」


 気を鎮めると、加藤は言った。


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