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あるパブの中で  作者: 白木克之
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出会い

 その時になって、初めて男は女の方を向く。


 「や・・これは失礼。隣にこんな美人が座っていようとは」


 男の間の悪さと、抑揚のない響きに女は眉に不機嫌なものを浮かべたが、タイミングを測った様にマスターが、ジンを男の前にすっと置いた。


 「あなたが?」

 「ごめんなさい、ご迷惑だったかしら」

 「とんでもない、酒はジン、音楽はジャズ。女性に酒を奢って戴くのは初めてですが、喜んで戴きます」


 グラスをカチンと合わすと、男は改めて女を見た。程良い照明の中で、その美しさは眩いばかりだった。



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