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あるパブの中で  作者: 白木克之
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出会い

 由利子は酒を口に運んだ。美しいその横顔に翳りが見えた。


「・・そのお子さんは・・?」

「ええ・・駄目だったわ。」


 出逢いとは、一瞬の出来事でその限られた時間の中で、なんと無く馬が合うとか、妙に惹かれると言う事が不思議とある。損得の勘定だけで謀れぬものも多い・・。


「・・・彼は生活を選んだ。でも、私達家族にとって最良の選択であったけれど、それは私にとっては最も辛い事だったの。誰よりも彼の才能を知っていたのは私だったから・。生活の為に、彼の夢は引き替えにして欲しくなかった。そうなる事は判っていたのに・・でも矛盾ね、女の私には、子どもも欲しかったなんて・・・」



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