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出会い
「ふ、ふふ・・。僕の言葉の先回りをしても、知りたいと君は望む訳だね。そしてそれは、君自身にも大いに関係してくるかもしれない事だから?」
由利子は、ぎくっとなって加藤の顔を見た。端正なその顔に潜む寂しさが見えた。目を伏せながら、彼女は答えた。
「そう、そうだとしたら?」
「やっぱり、俺は話す。それは君に関係無い事であったとしても。・・・やはり、妹の結婚は世間的に見ても、許されざるものであった。しかし出世と、妹の不倫とが板挟みになるような・そんな恋愛が果たして存在すると思いますか?」
加藤は由利子に問いかけた。




