177/803
ルポライター
美登は顔を上げた。
「そうなんだ、美登ちゃんは勿論何も知らなくても良かった話だったんだ。でも、一志君は、動いた。自分の意思か、或いは動かされたのかは、分からないまでも、非常に今危険だと言う事は言える。又、ここまで複雑怪奇に色んな事が重なり合って来ると言うのは、何か因縁めいたものも感じてしまうな」
そう言いながら、山名と美登は静かなこの環境の中で話を始めた。まるでこの周囲そのものが鉄壁の要塞の中に居るようで、ここは落ち着いて、何故か包み込まれるような安心感もあった。