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ルポライター
それは産後の日立ちが悪く、美登を生んですぐの事であり、政治家として一番重要な位置に居た竜胆に対して、山井がその竜胆の後援会の会長をしていた事もあり、芸娘の山名に一端預ける事にしたのだった。それは山名がその当時から、竜胆と深く関係があった事と、時が来たらば、本妻として山名を迎える事としてのものだったからだ。
「しかし・・政治家として階段を駆け登って行く竜胆に対し、君の母親代わりの山名は、君が本妻の子であったとしても、もはや日陰の身である自分ではその時の竜胆の妻にはなれない事を悟り、身を引いたんだよ。だとしても、君が竜胆の子として生きる人生にとって何が一番幸せなんだろうと何度も話し合った。二人でね」