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あるパブの中で  作者: 白木克之
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出会い

「済みません。勝手に俺が身の上話を聞いて貰っているのに・・貴方に不愉快な思いをさせてしまったね・」


 由利子は別に怒っているわけではなかった。ただ見ず知らずの初対面の男に対して、何故か心許している自分が何となく歯がゆかったのだ。


「いいの・早とちりしたのは私ですから・・」


 急に彼女の受け答えに、抑揚のない響きを感じた加藤は、意を決したように、


「妹の結婚は・・許されざるものだったんだ・」


 小刻みに震えながらジンを飲み干す加藤に、由利子は再びただならぬ彼自身の持つ何かを感じていた。


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