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ルポライター
「済まない・・俺の母は、竜胆に愛されて無かった。美登さんの母が子供心に羨ましかったし、俺は竜胆の家を大学卒業と同時に飛び出し、ある政治家の秘書として生きて来た。吉成の名字は偽名だ」
「私だって・・羨ましかったわよ。何不自由ない生活を貴方は送って来たでしょ?大きい家に住み、好きな道に進める貴方を。私の母は、ずっと日陰の道を・・私が父に会えるのは、月に1度、2度しか無かったわ」
「それでも・・君は、竜胆に愛されていた。俺は一度も竜胆に抱いて貰った事も無かった」
吉成の眼からも涙が毀れた。