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ルポライター
吉成は、大きく頷いた。
「だからね、酒席の話だと言う前提で、もしその会話の中に君が今躊躇している部分の事に参考にでもなれば幸いだし、俺だって、弱い人間さ。それを少なくても今君に見せている」
説得力があった。確かに美登に今の言葉は響いたのだった。
「じゃあ、私も肩の力抜くわ」
美登は再びジンを口に運んだ。マスターが持って来たつまみは、ジンに非常に合い、心地良さは変わらない。何かが、このパブの中に作用しているのだ。それは決して一夜で出来るものでは無いと美登は思った。