表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

作者: 土田 史路

 私はいつの間にか兎になっていた、ある朝目が覚めると巨大な虫になっていたグレーゴル=ザムザの様に。

 彼の罪がなんであったのか、私の罪がなんであったのか。彼は責任を背負う事のない日常を望んだ。平穏で、患わされる事の無い日々を。そして私は孤独を望んだ。彼と同じく、平穏で、誰にも患わされる事のない日々を。

 そうして今、私は死ぬだろう。そうだったのだ、兎は一匹では寂しくて死んでしまうという話は真実であったのだ。此まで、他者と交わる機会は何度と無くあった筈だ。けれど私は願ったのだ、一匹の孤独なウサギであることに。だが、それは本当に望んだ事だったのだろうか。

 胴体にリンゴが食い込み、幾本もある足はやがて萎え歩くのも窮屈になり、やがてザムザは死んだ。触れがたきモノとして扱われ、疎んじられ、孤独に死んだザムザ。彼の罪は?そして私の罪は?この感情は、この寒々しい感情はなんというのであろうか。しかし、それでももうどうする事も出来ないのだ。そうだ、そうな





 ※読み切り新聞、10月11日夕刊一部抜粋。


 都内M市でアパートに暮らしていた一人暮らしの男性(69)が死亡していた事が10日、分かった。警視庁によると、死後数ヶ月が経過しており、一部白骨化していた。なお死因は病死とみられる。

 M市によると、近くの住人から「部屋から音楽がなりっぱなしになっている、最近姿を見ていない」と連絡があり、8日朝、市職員らが部屋へ入った所、男性が亡くなっていたのを見つけたという。男性には友人や家族はおらず、さらに近隣の住人との接触を避けていた為に、発見が遅れたという。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ