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第8章 21

 ◇




 両手を広げてひたすらに嗤うリャナンシー。その、気が狂ったような態度と、纏う雰囲気の変化を感じ取った師匠は、率直な感想を漏らした。


《……いかんな》


 これから起こる何かが、自分たちにとって非常に善くないものであると理解したのだ。


「あはははは! あはははははは!!」


 笑いこけるリャナンシーはこちらを無視して声を張り続けている。ノーラの動きをまるで気にした様子がない。この隙に倒してしまうか、と一瞬よぎったその考えを、師匠はすぐに否定した。

 倒し切れずに中途半端になる。師匠は長年の経験から、そう感じた。おそらくもう、止められるポイントは過ぎている、とも。


「アハハハハハハハハハハ――!!」


 よって師匠は、ノーラに構えを取らせた。

 素人くさい適当な構えではなく、理合に基づく構えを。何が起きても対処できるようにと。


「ハハハハハ……、ふぅ……」


 やがてひとしきり嗤い終わったリャナンシーは、一息ついて両手を胸の前に。

 神に祈りを捧げるように、指を絡めて両手を組む。


「うふふ、……おねがい(・ ・ ・ ・)、」

《――!》


 師匠は、すぐさまノーラの肉体を動かして、両腕を頭上に振り上げさせる。

 リャナンシーの赤い目が、妖しく光った。



「――しぬまでわたしとあそんでちょうだい?」



 直後。化け物の身体から、薄い膜のようなものが広がっていく。


「これは……!?」


 濁った血のような色の膜は急激な速度で膨張し、驚くノーラと師匠をあっという間に取り込む。

 膜は、通路の一角全ての空間を内側に取り込むと、壁や床、天井に張り付くようにして膨張をやめた。

 水面に浮かぶ油のような不規則な紋様が膜の表面をうねり、石造りの通路は一瞬にして血で塗ったような様相を呈する。


 リャナンシーは、恍惚とした表情を浮かべている。

 ノーラにはそれが、ひどく不気味に見えた。


《やむを得ん――!》


 苦々しく、師匠が呟く。

 ノーラがその言葉の意味を問う前に、ノーラの身体は動いていた。師匠が勝手に動かしたのだと、ノーラが気付いたのは技の後だった。


《屋形崩し!!》


 頭上に持ち上げていた両腕を、膝から崩れるようにして振り下ろす。

 全体重と速度を乗せた手刀。化け物の鎖骨付近に斜め上から命中し、構わずそのまま振りきった。


「――!」


 打たれた衝撃で化け物が吹き飛ぶ。


 後頭部から床に叩き付けられながら縦に一回転、大きく後方に飛ばされていく。


 実にすさまじい威力の技である。

 ノーラは、それが曲がりなりにも自分の手で打ち出されたものだとは信じられなかった。


《まだだ……》


 師匠はそこに、追い打ちをかける――!


《白壁倒し!!》

「っ!?」


 下方から、前方斜め上に向かって打ち上げる双掌打。

 通路中が揺れるほどの踏み込みに乗せて、化け物の腹をまっすぐ突き抜く。


 内蔵のことごとくが破裂してもおかしくない一撃に、化け物の身体はなす術もなく更に吹き飛んでいく。二回転、三回転。娯楽創話の一幕のような光景を目にし、ノーラは思わず狼狽えた。


「し、師匠さん!? どうしたんですか急に!?」


 確かに、必ず倒すとは言ったが、ここまでやらなくても倒せたのではないか。

 どちらの技も、威力が高過ぎる。


 そうした思いを込めた言葉であったのだが、しかし師匠は警戒を緩めていない。

 力なく床を転がっていくリャナンシーを見据えながら師匠は、「やはりか」と吐き捨てた。


《つい先程までは、あれで倒せるはずだった。……だが、見ろ》


 そう言われてノーラは、吹き飛ばされたリャナンシーを見る。いや、目はすでにそちらに向いていたわけだから、注意を向けたというべきか。

 ともかく。尋常じゃない威力の当て身を連続で浴びた化け物が、果たしてどうなっているのかといえば。


「…………うふふ、痛いわ」


 ゆっくりと、上体を起こすリャナンシー。

 血の付いた唇の端を歪めて笑みを作ると、何事もなかったかのように立ち上がる。


 ……ダメージが入ってない?


 いや、違う。手応えは確かにあった。打ち込んだ瞬間、骨を砕いた感触や内蔵を打ち据えた感触があったことを、ノーラはきちんと感じ取っている。

 それなら痛みを感じていないのか。しかし、先程リャナンシーは「痛い」とはっきり呟いた。嘘かもしれないが、今、嘘をつく理由もないように思える。


 間違いなく効いている。

 効いているのに……。


「なんで、アレで動けるんですか……!?」

《……!》


 師匠は答えず。無言のまま、もう一度だけ試してみることにした。

 悠々と歩み寄ってくるリャナンシー。それが、一定の距離まで近付いたところで、師匠はノーラの身体を動かした。


「あらっ?」


 身を沈めて、化け物の足元へ手を伸ばす。

 前へ踏み込んで側方に回り込みながら、右手で左足をすくい上げる。と同時に、踏み込みで出した右足を逆方向に蹴って化け物の右足を後ろから刈った。


 両足を払われて尻餅をついたリャナンシー。


《――跳馬潰し!》


 その顔面に、躊躇いなく蹴りをくれてやる。

 腰をついていたリャナンシーが蹴られた衝撃でまたもや吹き飛び、蹴ったノーラは蹴り抜いた勢いで一回転。蹴った足がじんじんして、ノーラは顔をしかめてうめく。


 今、ノーラの肉体で出せる全力を、限界一杯まで引き出した中段蹴りだ。

 常人なら、首から上がなくなる。


「……まだ、そんなに動けるのね。こわいこわい」


 そんな蹴りをまともに喰らっておいて、気絶すらせずに起き上がる彼女は、いったいどうしたというのか。


「それに、とっても痛くてゾクゾクしちゃう」


 ふらふらと、鼻を擦りながら立ち上がる。

 全身ぼろぼろになりながら、なおも妖しく輝く赤い瞳。ノーラは一層不安を駆り立てられて、小さく息を呑んだ。


「でも貴女、――いつまでそうやって戦えるの?」

「……!」

「五分? 十分? ……三十分は保つかしら?」


 そんな瞳で見つめてきながら、リャナンシーは搦めとるように問うてくる。本当に問うているのではない。確認しているのだ。


 ノーラの限界が近いことを。


「一時間よ」

「……?」

「私がこうして、戦えるのは」

「――! まさか……!」


 リャナンシーは、真っ白い髪をばさりとかき上げた。


「時間がくればこの結界が壊れて、その間に受けたダメージがまとめてやってくる。そうなったら、私の命も終わり。今度こそ、きちんと死んであげる!」

「っ……!」

「でも、それまでは、たとえ主様でも殺せないわ。今の私は、そういうふうになってるの」


 「そして、」と。


「今の貴女は強いけど、私に勝てるとは限らない。貴女、私の時間が終わるまで、最後までここで、戦っていられるのかしら?」

「!」

「結界が壊れるまで、貴女も私もここから出られない。その間に、私を、気が済むまで殴ってもいいけれど……、私も全力で戦うし、貴女が力尽きたらトドメはさす。果たして、どちらが長く立っていられるかしらね?」


 化け物らしい凄惨な終わりを求める彼女は。



「さぁ、貴女のいうとおり! 私を虐めてみなさいな! 貴女の怒りの感じるままに! 私を殺してみなさいな! ……代わりに私は、貴女の命をもらうから」




 ◇




「ふっへっへっへっへ! やるなぁ!」


 リャナンシーとカースドアーマーを同時に相手取るチャスカは、周囲一面に呪術の雲を撒き散らしながら戦っていた。


 麻痺雲呪術(スタンクラウド)導眠雲呪術(スリープクラウド)毒雲呪術(ポイズンクラウド)、毒々しい、色とりどりのガスが混ざり合って辺りを漂い、迂闊に近付くことを躊躇わせる。


 ここに漂う毒雲の毒も一種類のみではなく、使うたびに種類を変えることで抵抗されにくくしてある。なんの備えもなく吸い込めば、とたんに動けなくなるような代物であった。


「嘗めてるのかしらぁ!?」


 そんな汚染された空間にあって、臆することなく踏み込んでいく二体の化け物。女も鎧も、雲の中に飛び込む動きは力強く、怖れる様子は微塵もない。


 リャナンシーが、自分と鎧に抵抗力を上げる術をかけたため、このくらいの毒素なら効かないらしい。


 双爪を振り回して苛烈に攻めるリャナンシーの動きは鋭く。

 盾での防御に重点を置いたカースドアーマーの動きは、鈍重ながらもチャスカに威圧感を与えるものだ。


 カースドアーマーは、リャナンシーと打ち合うチャスカの退路を塞ぐようにしてじりじりと接近し、盾の裏で剣を構える。

 先程まで、何度か同じように詰めていって、そのたびに鎌を投げられ、柄に仕込んだ紙人形で交換人形呪術(チェンジドール)を使って逃げられているのだ。

 今度こそそうやって逃げられないように、慎重に距離を詰めているのである。


 その動きと、少し離れたところで戦っているデザイアを視界の端に留めながら、チャスカは両手の鎌と鉈で、リャナンシーの爪撃を次々と叩き落とす。


 筋力だけで比べれば。リャナンシーのほうが若干強い。

 しかし、チャスカの手技――もっといえば、ヒラヒラと舞う木の葉のように攻撃を受け流す技術――が非常に巧みであるため、爪での攻撃はほとんど当たっていない。

 チャスカは、一対一で正面切って向かい合っているうちは、よほどのことがなければ攻撃を喰らうつもりはなかった。


 そして、その「よほど」に当たる出来事が。


「――――!」


 長剣による、カースドアーマーの斬り付けだ。

 じりじりと接近していた呪われた鎧は、チャスカを間合いに捉えると、飛び込むようにして斬りかかる。


「おおっと!」


 投げられないように、鎌で防いだ瞬間を狙われたチャスカは、仕方なくもう片方の鉈で受ける。

 剣の腹に鉈の刃を添わせると、軽く弾いて斬撃を捌いた。


「はぁっ!」


 その隙を逃さず、リャナンシーの追撃が襲いかかる。

 捌きに鉈を使ったせいで緩んだ防御。その緩みを正確に見抜き、左の脇腹へ抉り込むように、真っ赤な爪を突き立てる。


 入った、と思ったリャナンシーに、しかしチャスカはニヤケた笑みを崩さない。


 その理由を、ガキン、と固い何かに阻まれて、紺色の団服までしか爪が刺さらなかったことで理解する。


 顔をしかめるリャナンシー。援護するため、カースドアーマーがもう一度剣を――。


「ほれっ!!」


 持ち上げようとしていたところに、チャスカの鎌が突き刺さった。鎧の手首の関節部分に刃を食い込ませたまま、緑眼の男は捏ねるようにして鎌を引く。ごりっ、と耳障りな音が鳴り、関節の部分で斬り外されて剣ごと右の籠手が落ちた。


「――――」


 片手を落とされてしまったことで、鎧の行動を制限される。

 直してやらなければ、盾の代わりにするぐらいしか使い道がない。

 そしてこの戦闘中に、直す暇はないだろう。


「よぉし、これでお前に専念できるなぁ」

「……その、服の下ぁ、」

「んぁあ?」


 リャナンシーは、先程チャスカに突き込んだ右手の爪を見ている。


ナニ(・ ・)を潜ませてるのよぉ。そのダボダボの、制服の下にぃ……!」


 爪の先が、削り取られ(・ ・ ・ ・ ・)ていた。喰われたように。こそぎ取られたように。

 チャスカが服の下に仕込んでいる何かが、攻撃を受けたときに削ってきたのだ。


「なんだぁ、たかだか爪をかじられた(・ ・ ・ ・ ・)くらいで泣き言かぁ? ふっへっへ。思ったより、弱っちいなぁぁあああ」


 チャスカは、リャナンシーに視線を戻しながら、団服の襟元を引っ張ってみせる。

 陰になってよく見えないが、黒い何かがごそごそと蠢いていた。

 リャナンシーには、その正体は分からない。


「知りたいか? 知りたいのか?」

「……教えてくれるのぉ?」


 べぇ、と男は挑発的に舌を出した。


「教えるわけねぇだろう? テメエら、化け物なんかによぉおおおお!」

「……やぁっぱりね」


 予想通りの答えを受けたリャナンシーは、それなら自分で見極めるだけだと、チャスカに迫ろうとする。


「“ハイドクラウド”!」

「っ!」


 それに対しチャスカは、反対に距離を取りながら、真っ黒い雲を口から大量に吐きだす。

 先程までとは比べ物にならない量。付近一帯の視界を遮る、煙幕状の雲である。

 一瞬で、リャナンシーの視界からチャスカが消えた。


「まぁ、そんなに知りたいなら、とくと味わわせてやるさ。――“マスキング”!」


 そして、煙幕の向こうから聞こえる声。認識阻害魔術の効果により、気配すらも分からなくなった。

 リャナンシーは、素早くカースドアーマーと背中合わせとなる。


「……どこにいるのかしらぁ?」


 認識阻害魔術は、あくまでも気付かれにくくなるだけのものであり、最初から注視された状態で使っても効果は薄い。

 だからこそ、煙幕で隠れてから魔術を使ったわけだが……。


「私の背中、任せるわよぉ?」

「――」


 この魔術は、攻撃などで速く動いたり他の術を使ったりすると、自然に効果が切れる。

 よって、不意打ちなどに使うのであれば、相手の死角から襲うのが定石となるのだ。

 それを理解しているリャナンシーは、カースドアーマーに背中を守らせることで死角を潰した。


 全神経を集中して、チャスカの攻撃に備える。


 転嫁人形呪術(スケープドール)を使っているため、一撃や二撃ではダメージはこないだろうが、チャスカの持っている武器はどちらも授呪武器。どんな副次効果があるか分からない以上、喰らわないに越したことはない。攻撃してきた瞬間を見切れれば、防御は不可能ではない。


「どこからでも来てみなさいよぉ。今度は、首を掻き切ってあげるわぁ!」


 どこかにいるであろうチャスカに向けて、リャナンシーは吼える。

 次第に煙幕も晴れてきて、視界が開けてきた。


 少し離れたところでは仲間のリャナンシーが、その奥ではハイレブナントの集団がそれぞれ侵入者たちと戦っている。

 青髪の男は、向こうに付けておいた呪われた鎧を破壊したらしい。一対一になって――。


「……?」


 その時リャナンシーは、激しい違和感を覚えた。


 なにかがおかしい、という言い様のない感覚。


 漠然として、それでいてハッキリと感じるその感覚に、リャナンシーは思考を加速させる。


 晴れていく煙幕の動き。

 向こうの戦況。

 チャスカの言動。


 煙幕を張る直前、あの男はいったいどこを見ていた……?


「……――っ!! “ヘイスト”!!」


 違和感の正体に気付いたリャナンシーは肉体を加速させると、カースドアーマーを放置して駆け出した。




「波濤!!」

「――――」


 リャナンシーの火属性魔術を掻い潜りながら攻め立てていたデザイアは、とうとう敵の一体を斃した。

 蒼い光を迸らせて走る銀線が、カースドアーマーの核を切り裂いたのだ。

 鎧の各部の連結が外れバラバラになっていく。


「あらあら……」


 リャナンシーは、崩れ落ちる鎧を挟んでこちらを睨む青年に、気安く話しかける。

 世間話でもするみたいに。


「お見事、といったところでしょうか。それだけ魔剣を使いこなせるようになるためにどれほどの修練が必要だったことか。私には、想像も及びませんね」

「……」


 デザイアは答えない。

 黙ったまま両手の剣を握り直す。

 リャナンシーが、悪意を滲ませて薄く笑う。


「おや、どうしました? 怖い顔をしていますよ? ひょっとして、お気に障りましたか?」

「……いや、気にすることはない」


 デザイアは、騎士剣の切っ先を真っ直ぐ突き付けた。


「お褒めに預かり光栄だぜ。がむしゃらに鍛えた甲斐がある」

「そうですか」

「次は、アンタをこうしてやるよ」


 そして騎士剣で、足元に散らばる鎧の残骸を指し示した。

 リャナンシーは、薄い笑みを崩さずに両手を持ち上げて五指を伸ばす。


「……“ファイヤアシスト”、“ファイヤウエポン”」


 真っ赤な爪に炎が灯る。

 筋力を高める魔術と、武器に火属性を付与する魔術。


「貴方こそ、そこのゴミと同じように、這いつくばらせて差し上げましょう」

「はっ、そうかよ」


 言うが早いか、デザイアが斬りかかる。お得意の息もつかせぬ連続攻撃。ここまで、長い時間戦闘を続けてきているが、いまだ速度に衰えはみえない。


「接近戦は、あまり好きではないんですけどね!」


 リャナンシーが、それに応じる。

 炎を灯した赤い爪でデザイアの双剣を正面から受け止め、弾く。

 躱して、受けて、守りに徹し、後方に引くと同時に右手を突き出す。


「“フレイムライン”!」


 至近距離から、胸元へ伸びてくる高速の白炎。

 デザイアが真横に跳ぶと、リャナンシーは更に左手を突き出した。


「波濤!」


 跳んでいる最中を狙われたデザイアは、光量を消費して波濤を使う。蒼光を纏わせた刃を振り当て、炎線の軌道を逸らした(・ ・ ・ ・)


「そんなことも――!」


 できるのね、と続ける前に着地したデザイアが一足飛びで近寄ってくる。再びの、双剣乱れ斬り。

 三度、四度、五度。慌てることなく爪で防いでいくリャナンシー。


「十分戦えるじゃないか!」

「好きでは、ないだけです!」


 両手の獲物をガチンと打ち合わせて、そのまま鍔迫り合いになる両者。


 魔術でかさ上げしているおかげで、筋力的にはほぼ互角になっている。

 お互いに譲らず、力を込めていく。


「悪いが、ここで止まるわけにはいかないんでね。お前を斬って通らせてもらうぜ」

「こちらこそ、ここから先へ通すわけにはいきません……!」

「……!」

「っ……!」


 やがて無言になり、ぐいぐい押し合う二人。


 そんな二人の均衡は、――唐突に崩れる。



「――そのまま抑えてろ、デザ公」



 リャナンシーの背後から、声が――。



「えっ……?」


 気付いたときには、リャナンシーの右脇腹が、ざっくりと切り裂かれた。

 深い。内蔵に達するほどに。


 がくん、と、足の力が抜ける。

 目の前のデザイアも、驚いていた。



 姿を隠していたチャスカ(・ ・ ・ ・)が、背後から鉈で斬りつけたのだ。




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