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商人グレました  作者: モロモロ
第一章 決意までの日々
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奸計

お気に入り登録、及び高評価ありがとうございます。

物語を作るモチベーションになります。

完全に素人小説ですので、ご指摘あれば、是非お願いします。

「一介の商人が口を挟むことをお許し下さい。しかしながら、なにやら、金銭的なトラブルでお困りのようでしたので、なにか、自分にお力になれることがあるのではと思い、差し出がましくもお声をかけさせていただきました」

「何か勘違いしているようだが、お前がどうこう出来る金額では無いぞ。数カ月分の利益が吹っ飛ぶような金額を縁もゆかりもない、この男に貸し付けられるような器量とは思えんが?」

「確かに、返済の確約も無く、大金を貸し出す事は出来ませんが、確約もあり、当方としても良い金利で借りていただくのであれば、旦那様方のような力ある冒険者の方々とお近づきになる良い機会でもありますので」

「確約とはどのような事を言っている。して、お主は本当に30万ドランもの金額をこの男に貸付する気持ちがあるのか?」

「30万ドランですか・・・」

「そうだ。30万ドランだ。一介の商人がホイホイと貸し出せるような金額では無いぞ」

「恥ずかしながら、当方が汗水流して、稼ぎだす一ヶ月の金額もそこまでには及びません、また、私が生活する上でも、金銭は必要となりますので、確かに、30万ドラン全額の貸し出しは難しいかもしれません。ですが、20万ドランであればなんとか」


30万ドランであれば、昨夜の臨時収入もあるから、十分に貸し出せる金額金額だが、先々の計画では、このラグという男をギリギリまで追い込んでおかなければならないからな。仲間や運営費やもろもろ全て吐き出して10万ドランと言っていたので、その分はしっかり吐き出しておいてもらう予定だ。


「20万ドランか。ラグ、お前たしか10万ドランならなんとかなるんだったよな?」

オレを睨むように見ていたラグが、質問に返した。

「兄貴。確かに10万ドランはなんとか用意出来ます。ですが、こいつの話はきっと何か裏がありますぜ。危険な匂いがプンプンしますぜ」

「ああ、俺もそれは分かっている。だが、お前の選択肢は2つだ。少しの希望か、明日からの奴隷生活という絶望の日々か。お前ならどっちを選ぶかって話だ。お前の一家全員の明日が、お前の決断にかかってると思えよ。いずれにせよ、僅かながらでも希望の光りを与えてくれたコイツには感謝しねぇとな」

「モート。とか言ってたな。どうやら、俺達にはお前の力に頼るしかなさそうだな。なにか条件があるとは言え、絶望の中に、希望を少しでも与えてくれたお前への恩義はいつか必ず返させてもらうぜ」


絶望に落とし込んだ張本人がオレなんだがな。


「商人として、何か冒険者の方々のお力になれるのであれば、幸いです。ですが、力ない商人としては、旦那様方のような力ある方々に、大金をお貸しするということは、身を投げ出す思いであるということも、ご承知下さいませ。本当に、不躾なお願いにはなってしまいますが、必ず返済をするという事を示していただくために、この魂の契約書に、血判を押していただきたく思っております」


魂の契約書と聞くと、取り巻きの間から、ざわめきが起こった。あの獣人の恐ろしい顔も、若干驚いた表情に変わっている。


「お前、魂の契約書なんてどこで手に入れた?」

獣人が凄むように睨み問いかけてくる。


魂の契約書。

契約書に書いた契約内容を履行しなかった場合には、その者の魂をもって、契約者に弁済する事になる。高度な魔法のかかった契約書となる。


「お客様、一介の商人とは言っても、一応商人でございます。様々な取引先の中には、このような商品への縁も生まれます。商いを行う者として、なんらかの事情で金銭的貸し借りや、ビジネス上の大きな契約など、将来的に考えられる事もありましたので、このような時のために、用意させて頂きました。20万ドラン。来週には40万ドランで返していただければ、お貸し出しいたしましょう」

「て、てめぇ!人の足元見て、一週間で倍はあまりにも暴利だろう!」

さすがに周囲からも、もの凄い視線を感じる。だが、こう言われる事も、このように思われる当然承知の上だ。全ては布石。

「おっしゃるとおり、私もこの金利は暴利だと分かっております。ですが、さすがに、たったお一人の契約では、どうしてもリスクはかなり高くなります。ですから、ご一家の方々も同様に連帯責任ということでご契約いただけるようでしたら、返済の可能性も増えますし、私としても、リスクがかなり減りますので、30万ドランで貸し出しさせていただきましょう」

これでもトイチどころじゃないずいぶんな高利貸しだけどな。そもそも、オレの狙いは金利で儲ける事ではないからな。

「オレの一家全員に、その契約書に血判を押せっていうのか?」

「それは、ご自分でお決め下さい。あくまで商人として、リスクとの兼ね合いで金利を決めさせていただくまでなので」

話の展開を傍観していた、子分達がここで一斉に口を開く。

「問題ない」「こんな奴の思うようには絶対させないんだから」「判断は委ねるっちゃ」「一家ハ運命共同体デス」「私はあなたを見守ち続けます」

「みんな、すまねぇ」


「オッシャァ!」と心の中でガッツポーズを決める。

狙いは、君じゃないんだよ。

オレの狙いは、君の一家。美女軍団の魂だ。

自分で書いてて、本当にどんどんと、人気無いだろうなぁ、っていう主人公になっていきます。

こういう非道な主人公を創りだしてしまっている時点で、軽く自己嫌悪ですが、どこか憎めない奴にはしていってあげたいです。

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