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商人グレました  作者: モロモロ
第一章 決意までの日々
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逃走人

スクロール ファイアボール 10

知識・魔力の無いモノでも、十分な威力の魔法を行使できる魔力の篭ったスクロール。


破魔の指輪 闇耐性 +3

闇の力を防ぎ、魔除けの力も僅かながら秘めている。


これは、完全に冒険者用の装備だね。

しかも、わざわざ貴重品の中に入れてたってのは、誰かへのプレゼントか、予備の装備かだったんだろう。


しかも、この他に30万ドランも得てしまった。

これは、まじめに商人やってるのがバカバカしくなってしまう。


ちなみに、オレの店の一ヶ月の売上は、500万ドランある。その中から、諸経費及び、素材の仕入れ費用、店舗の購入ローンの返済など差し引くと、毎月手元に残るのは、20万ドラン程度だ。

何よりも、冒険者では無い自分にとって、危険を伴う街の外での素材を自分で出来ない事、それによって、冒険者や行商からの素材の仕入れ費用が経営を圧迫している。


<アイテム鑑定 100>を<鍛冶 100>に付け替えると

破魔の指輪をもって、店裏の工房で作業を始める。

そして、出来たのがこれ。


破魔のイヤリング 闇耐性 +3


リングを2つに別けて、ちょっと加工させていただきました。

明日には、これ店頭に並べます。証拠隠滅。安心安全の盗品転売方法だな。

うん。素材の仕入れ費用 0で商品が出来るとか初めてのことだけど、商人&鍛冶に盗人のコンボ最強だな。


ひとり、ニンマリと満足感に浸りながら寝るとしよう。

窃盗という重罪を犯してしまった罪悪感と、もしバレたらという恐怖は胸の奥にしまい込んで。






翌朝、いつもどおりの朝。

店を開け、店前の掃除をしていると、慌ただしい足音が向こうから聞こえてくる。


「待ちやがれ!てめぇ落とし前つけやがれ!」


どうやら、6人ほどの集団が、後方の20人ほどに追われているようだ。

そして、オレの店の前で遂に囲まれる。

おいおいおい、マジで厄介事はごめんだぞ。


「はぁはぁ、手間取らせやがって、お前らも分かるだろうがよ、ここでしっかり落とし前付けて帰らなかったら、俺達だって、どうなるか分からねぇ。素直に全員、首を出しな」


後方から追ってきた集団の真ん中から、集団のリーダーらしき男が大粒の汗をかきながらそう言った。獣人でも虎の獣人だろうな、無茶苦茶怖い。早々に店中に避難すれば良かったのに、好奇心で外で掃除してるふりを続けてたばっかりに、既にこの空気感の中、身動き出来ない状況だわ。首出すとか、もしかしての展開ですか?


「ガルローズの兄貴、勘弁してくれ、今回だけは見逃してくれ、来月は倍の額を組に収める」

「ラグ、おめぇ組織ってものが何も分かってねぇな。そういう例外を作っていけば、どんどんとタガが外れていく、そして組織では無くなっていく、例外は無い、素直に首を差し出せ、お前ら全員、奴隷商に売り払われて、自らの身で組への上納金を収めるんだな」


ん?ラグ?どっかで?


「俺は嘘はついてねぇ!昨日の晩までは確かにあったんだ!」

「いつも、組抜けしようって奴は、そういう言い訳するんだよ。何より、朝一番でこうやって、一家率いて街を出ようとしてて、良く言えたもんだな」

「ラグは私達を守ろうと!」

連れのダークエルフが男の前にかばうように進み出た。

「てめぇは引っ込んでろ!」

ドガッシャァァァ

獣人の一撃で、ダークエルフが俺の目の前まで吹っ飛んできて気絶しました。

生きてるんだろうなこれ。マジでオレの店先でやめてくれー。


ダークエルフを目で追うように振り返った、ラグという男とオレの目線が合う。

片目に傷があるサラマンダー族。これは完全に昨夜の方じゃないっすか。

しかも、どうやらオレが盗んでしまった30万ドランは組への上納金だったみたいだな。こんな大金持ってグデグデになるまで酔っ払うとか、どんだけ危機管理能力低いんだコイツは。


「おい、ラグ、おめぇなんとかならねぇのか?俺だって、お前を奴隷なんかには落としたくねぇし、また一緒に馬鹿やりてぇって思ってるんだよ。仲間の金かき集めればなんとかなるんじゃねぇのか?銀行ぐらいには、付き添ってやってもいいぞ」

獣人の瞳に少しだけ情けの光が宿る。どの世界でも任侠の世界ってのは、厳しい世界だよな。

「すまねぇ。兄貴。俺も今日は親父を喜ばせようと思って、出来る限りの金を用意したつもりだったんだ。一家の運営費から何から出しきっても、10万が限界だ。小さい一家だったからよ」

「そうか、、、じゃぁ、もう諦めてくれや、俺も命まで取って落とし前はつけたくねぇ」


「あ、あの・・」

場違いの俺がここで口を開いたよ。これ、成功したらかなり展望が開けるアイデアい思い付いたんだわ。


「なんだオメェは?」

「ここの店の店主モートでございます」


獣人の目つきやばい、食われそう。

ビビりながらもうやうやしく頭を下げたのであった。


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