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新訳MineFuneral  作者: 原作:とろこ リライト:ひさめ
2/21

【02 】 その片鱗

「シュンヤ様、ご参加ありがとうございます」


「えーっと……お願いですから登校中の連絡はご遠慮ください……」


シュンヤはバトラーにそう訴えたが、悲しいことに聞き手はそれが聞こえなかったかのように話を続ける。


「つきましては、同じ世界の能力者にご注意ください」


「なぜですか?」


「ライバルは一人でも少ない方が良いと感じるのが人間の心理でしょう?」


「そりゃあ…………、でも」


「当ゲームは開始前の戦いを特には制限してないんですよ」



「えぇっ!? それを早く言ってください!!」


「でもあなた様はそれをご存知のはずですよ」


「そりゃそうですけど…………ほら、色々やってると覚えてられないんですよ」


「ともかく、くれぐれもお気をつけて」


「あなたこそ」


シュンヤがそう締め、バトラーに手を振った。数歩進めばもう校内の敷地である。そのままいつものように教室に入ると、クラスメイトの男子がシュンヤに声をかけた。


「おい黒瀬、お前あのうわさ知ってるか?」


「あのうわさ、ですか?」


「あぁ、何でも鳥のマスクを被ったやつらからの招待でゲームに参加して勝つと、願いが叶うってやつ」


「あー…………、正しくは運命を変えられる…………ですね」


「え!? なんだよそれ」


怪訝そうな顔をしながら話をよく聞く体勢になった男子生徒に、一瞬ためらってから、別にいいかと正直に話すことにした。


「遭遇したんです、その鳥のマスクに」


「何!? じゃあお前ゲームに!?」


「はい、参加してきます。もしも二度と学校に戻らなければ…………死んだと思ってください」


「いや…………だって…………、お前…………」


「大丈夫です、多分死にませんから」


シュンヤが言葉とは逆に自信なさげに俯いて言う。けれどよく見ると口元は微かに笑んでいた。


***


バトラーの警告に内心少しどきどきしていたシュンヤだったが、本日の学校でのやることは無事に終わり、クラスメイトと帰り道を歩いていた。


「みーつけたー…………」


「!」


シュンヤはその声を聞き逃さず、驚きながらも声の主を振り返った。


「お前、Mine Funeral参加者だろ?」


「だったらなんですか?」


「だったらここで殺す!!」


声の主は過激な言葉を叫ぶとボウガンの矢をシュンヤに向けて放った。シュンヤは咄嗟であったものの、鞄で矢を受け止めることに成功した。


「皆さん逃げてください!!」


シュンヤが叫べば、突然のことに固まっていたクラスメイトたちが一目散に駆けていく。シュンヤはそれを確認し、彼らとは逆方向に走り出した。

勿論自分への攻撃は止まってくれるはずもなく、走りながら避けるのは結構大変だ。ぎりぎりで躱しつつも、元々インドア派であるシュンヤには、体力の限界が近くなってきていた。


「はぁ…………はぁ…………」


「もう限界なのか? お前弱すぎんだろ、そんなんじゃ、あっちに行ってもすぐあの世行きだな」


獲物を追い詰めたと決めつけすぐにとどめを刺さなかった油断が、シュンヤに勝機を与えた。ボウガンの主が喋っている間に、シュンヤが息を整えながら傍らにあった標識に狙いを定めた。にんまりと笑い力を込めると、その標識は簡単に折れ武器として扱えるようになった。

それをシュンヤはボウガンの主を狙って何度も何度も突き刺そうとした。相手がいかに避けようとも、距離を取ろうとしても、刺さるまで何度でも繰り返した。

そして遂に、標識が狙いに刺さる。シュンヤは形勢逆転どころか勝利すら確信し、刺したままのそれをぐりぐりと動かす。


「ああああああ!! 何しやがるんだ!! 痛え! 痛えっ!!!!」


当たり前のことだが、それはとても、痛い。のたうち回る相手を見て、能力を止めないまま、シュンヤは心外だとばかりに言う。


「襲ってきたのはそっちじゃないか、ひどいなぁ。弱すぎだからあっちに行ってもすぐあの世行き、だっけ? ふうん、もう一回言ってみなよ」


もはや滅多刺しといった様相で、標識が抜き差しされている。それを平気な顔で、操っている張本人が見ている。


「残念でした! こんなところで死んじゃうお前はあっちに行ってもあの世行き決定でーす! あッはははは!」


やがて、すっかり赤に染まったそれは動かなくなった。


「やれやれ、俺も性悪ですね」


その場にいる喋ることのできる者がそう呟いた。用無しになった標識から能力を抜く。カランとあっけなくコンクリートに転がったそれは、元は危険を知らせるための標識だった。シュンヤはそれを蹴り飛ばし、近くの川に落とした。


「さてっと…………どうしたもんかな…………?」


聞く者のいないその呟きは、まだ少し陽の高い西日の中に、溶けて消えて行った。

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