表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
左 翼 転 生  作者: セクシー&ブーメラン
第1話 敗残勇者の解放とは、奪われた世界と契りを、彼自身に取り戻す。
1/7

1-1

 ダ・シャルダン王国。


 魔族と戦う勇者が誕生する聖地。

 そう呼ばれている。


 聖地という言葉は便利だ。

 血の匂いも、泣き声も、全部そこへ押し込められる。


 勇者は祈りで生まれる。

 建前は。


 実態は、選ばれて、作られて、使われて。


 ……捨てられる。


 敗残勇者のジュスタンは、その捨てられた側だった。


 王都の第七門の前は、音で満ちていた。

 太鼓が鳴る。旗が揺れる。鎧が擦れる。馬の鼻息が白く立つ。


「がんばれー!」

「新しい勇者様だ!」

「今度こそ魔族を根絶やしにしてくれ!」


 歓声は門の外へ流れていく。


 脇に寄せられた一台の馬車。

 その幌の中に、松葉杖を持った男がいた。


 幌の中は血の匂いと、使われない装備。

 戻らない仲間の分だけ、空いた場所がある。


 御者が手綱を引き、馬車が止まる。


「次。」

「……何だ、敗残兵か」


 門番の声は淡々としていた。

 人ではなく、荷を数える調子だった。


 幌が少しだけ開く。

 光が刺さる。


 男は松葉杖を握って降りた。

 左脚は、思いの通りには動かない。


 石畳に杖先が当たる音だけが、小さい。

 門番の視線が左脚に落ちた。


「……その脚じゃもうダメだな」


「……」


 門番は鼻で息を吐いた。


「名前は?」


「ジュスタン」


「……ああ、お前が大力の…」

「そうか…通れ」

「中で倒れるなよ。仕事が増える」


 面倒と同情が入り混じったその言葉は、新しい勇者の遠征を祝う音よりも耳に残った。


 門が開き、ジュスタンは王都へ帰ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ