成人しても勉強は必須らしい
「あ! ここに依頼の種類とか載ってるんだ…」
朝食後、ブルームが冒険者手帳をパラパラめくっているととあるページの部分で手を止めた。
そこには「採集依頼」、「討伐依頼」などの達成方法が載っていた。
〜採集依頼〜
規定の物を規定の数納品する依頼。植物だけでなく、魔物の素材や既製品の納品が依頼されることもある。
〜討伐依頼〜
魔物を規定の数討伐する依頼。ギルドで指定された討伐部位を持っていくことで依頼の達成が認められる。
〜護衛依頼〜
商人や貴族、一般人など、身分に関わらず護衛をする依頼。護衛対象の身分などによって受けられるランクが異なる。
〜指名依頼〜
依頼する冒険者名を指名できる依頼。報酬が多くなりやすい。また、内容が気に入らない場合は拒否することもできる。
〜特別依頼〜
臨時で発生する依頼。上記に属さないものが当てはまる事が多い。
「指名依頼っていう制度とかあったんだ…。
知らないことが多すぎる…。」
ブルームは手帳を見つめながらため息交じりにつぶやく。そしてそのまま冒険者ギルドへ向かった。
「えーっと…。確か本来は掲示板の依頼を剥がして受付に持っていくんだっけ。」
ブルームはギルドの出入り口の前でキョロキョロと周りを見渡す。先ほどのことは忘れている様子。
「あ、あれか。そういえば昨日見たなぁ…」
自分の記憶力のなさを嘆きながらブルームは掲示板の前へ向かう。
「今武器持ってないから、討伐依頼と魔物の素材の納品は難しいよね」
ブルームはそうつぶやきながら、昨日と同じ薬草採取の依頼を手に取り、受付へ持っていった。
「薬草は割と順調に集まるんだけどね〜…」
街の外の草原でブルームは袋に入った六本の薬草を眺めながらつぶやく。昨日のように聖薬草が見つからないかと淡い期待を抱いている。
「うん…? この花なんだろ…」
ブルームは花を丁寧に抜いて観察する。
ブルームのとった花の花びらは紫色で、4つの花弁がついている。
「ちょっと毒々しい色してるけど、最悪その辺に捨てればいいし…。」
ブルームは何も入っていない袋を取り出して花を入れる。お昼に一度孤児院に戻って図鑑で調べようと思ったのだ。
「せっかく成人になったのに…。また勉強…。」
ブルームはがっくりと肩を落とし、残りの薬草を探した。
「えーっと…この花はイオレットっていう花かな?」
依頼を終えて帰ってきたブルームは図鑑の絵と取ってきた花を並べて観察している。
「え! これ、解毒剤の材料になるんだ…。」
図鑑を読み進めている途中、ブルームは驚きの声を漏らす。あの毒々しい色の花は解毒草だったのだ。
また、依頼のときに摘んでいる薬草はオトギリと呼ばれている。聖薬草にはオトギリやイオレットのような名前はないらしい。
「図鑑、ちゃんと見ておくべきだったな…」
ブルームは7年ほど前から孤児院にいたということもあり、図鑑の存在は知っていた。しかしブルームは童話や伝記ばかり読んでいたため、植物については全く知らなかった。
10歳の時からはミティアに勉強も教えてもらっていたのだが、ブルームがあまり植物に興味を示さなかった影響で植物を学ぶ機会がほとんどなかったのだ。
「成人するまでにしっかり自分から勉強すればよかった…。」




