夕食
「いただきます!!」
孤児院の子供たち9人とミティアはそれぞれ手を合わせて一斉に食べ始める。
「ブルーム。お前冒険者になったって本当?」
ワイワイと各々が話す中、そう問いかけたのはレオ。
彼はブルームと同じ時期から孤児院で過ごしていて、年齢はブルームの一つ上だ。
「うん、本当」
ブルームはもぐもぐとご飯を食べながら答えた。
「いいよな。お前は気楽で」
レオが発した言葉に、ブルーム含めた大きな子供たち数人とミティアが固まる。
「え?」
「だって、好きなときに依頼受けて…。
しかも報酬までもらえるんだろ?
俺なんか報酬無しで毎日毎日畑仕事だぞ?」
「やめなさい」
レオの言い草にミティアが止めに入る。しかしレオは口を再び開けて続ける。
「お前、ずるいよな。俺も女に生まれたかった」
「……」
レオの言葉にブルームはうつむく。
ここの孤児院では、基本的に成人するまでの間、小さい子と女の子は家事、大きい男の子は畑仕事などの外の仕事を請け負っている。
成人になったときは自分で進路を選ぶことができるのだが、レオは15歳になったとき、仕事につかずに孤児院での仕事を続けることを選んだのだ。
「冒険者は命をかけた立派な仕事です。もちろん畑仕事だってそう。レオは他の仕事につかず畑仕事をすることを選んだのでしょう?」
ミティアがさとすとレオはムスッとした顔で頷く。
「それなら文句を言わずに責任持って畑仕事をしなさい。わかった?」
「分かりました…。」
レオは渋々返事をすると、納得いかないと言わんばかりのしかめっ面で夕食を食べ進めた。
「ミティアお母さん、さっきは助けてくれてありがとう…。」
ブルームはミティアと二人で食べ終わったお皿を洗いながら言った。
「気にしないでね。
レオの言い方にカチンと来ちゃって…。
私も孤児院を始める前は冒険者だったからね」
「ええっ!?」
ミティアのセリフを聞いたブルームは、驚きのあまり洗っていたお皿を落としそうになった。
「これでもCランクの冒険者だったの。
剣振り回して…。そこそこやんちゃだったわね…」
「…なんとなく想像できるかも。」
ブルームが昔二人で薬草採集に行った時のミティアの活躍を思い出しながら言った。そしてミティアとブルームは顔を合わせて「ふふっ」と笑い、お皿を拭き始める。
「今日はもう休んでいいわよ。明日も依頼受けるんでしょう?」
「うん!お母さんありがとう! それじゃ、お言葉に甘えて!」
ブルームはミティアにお礼を言ってエプロンを外すと、部屋へと戻っていった。




