孤児院にて
「はい、ブルーム・チェイスさんでしたね!
こちらが報酬になります!」
「ありがとうございます!!」
ブルームは受付にいた女性から報酬を受け取る。
今日の仕事が終わったのか、さっきの青年はもういなくなっていた。
ブルームは女性にお礼をした後、ギルドの外へ出る。
「銀貨1枚かぁ…。これなら、孤児院のみんなにパン持っていけるくらいはあるかな…」
銀貨1枚は1000円程度。パン1個で銅貨1枚(100円)程度だとしたら、ブルーム含めて9人の孤児がいる孤児院でもギリギリ足りるだろう。
「ただいま!」
ブルームは街でパンを買ってきた後、街のはずれにある青い屋根の家に入る。
ここがブルームの育った孤児院なのだ。
屋根の色は、子供たちが出かけたとき、迷子にならないように塗料で塗ったらしい。
「おかえりなさい、ブルーム。ギルドへの登録はできた?」
ブルームが挨拶をすると、孤児院の中から大柄でも小柄でもない平均的な体格で寒色の瞳と長い銀髪を持った一人の女性が出てきた。
「ミティアお母さん!」
ブルームが飛びつくと、女性はニッコリと微笑んだ。
女性の名前はミティア・ホワイト。孤児院を作った人物でもあり、孤児院の子供たちの母的存在でもある人だ。
「実は…!」
ブルームは先ほど買ってきた物の袋をミティアに突き出してみせる。
「この匂いは…。パン?」
ミティアはが答えると、ブルームは誇らしそうな顔で『正解!』と返す。
「ありがとう。丁度明日の朝のパンがなかったのよ。
ところでそのパン、どうやって手に入れたの…?」
「薬草採取依頼の報酬で買ったんだよ!」
「あら、もう依頼まで!」
ブルームが得意げに笑うと、ミティアは目を丸くして驚く。
「ブルームは優秀ね…」
「お母さんが前に薬草について教えてくれたおかげだよ!」
「立派になったわね…。これなら、ここを出るのも時間の問題かしら?」
ミティアは話しながら涙ぐむ。ブルームがミティアの事を母と呼ぶように、ミティアからしてもブルームは自分の娘のような存在なのだ。
「まだ早いって!
独立するにはお金もないし、知識もないし…」
ブルームは慌てて反論する。
まだまだブルームは孤児院でみんなと過ごしていたいのだ。
「おかえり!ブルームお姉ちゃん!」
ブルームとミティアが話していると、奥の部屋で遊んでいた、5〜9歳くらいの子供たち3人が走ってきた。
「ただいま! ルクス、ルチア、ルミノ!」
ルクスは9歳、ルチアは7歳、ルミノは5歳で、3人とも4年ほど前に引き取られた子たちだ。ルクスは男の子、ルチアとルミノは女の子。
彼らは兄弟ではないらしいのだがとても仲が良い。
「ルクス、ルミア、ルチノ!
ちょうどいいところに来てくれたわね。
これから夕飯にするから、手伝ってちょうだい。」
「「「はーい!」」」
ミティアが子供たちにお願いすると、3人は気持ちのよい返事をした。そして、3人で競争するかのように手を洗いに駆けて行く。
「ブルームも手伝いお願いしていい?」
「うん、もちろん!」




