ツインテールに拗らせた俺と幼馴染にもらったオルゴール
「おぉ!すげー何だコレ?どうなってるんだ!?」
「もう、落ちついて」
寝室の猫のぬいぐるみを眺める、
ツインテールな彼女にもらったものだ。
なんでぬいぐるみなんか、と思っていたら
「はいっこれ、なんだと思う?オルゴールなんだよ!」と言ってネジを回して渡してきたっけ、
天真爛漫な彼女が俺を振り回すせいで、すっかり拗らせてしまい、二次元も現実世界もツインテールなら無条件で反応するようになってしまった。
さて、日課の返信でもするか
ふとメッセージアプリを開くと見覚えのない名前が、
【香咲のあ】
あれ?こんな可愛い名前の人、フォローしたっけ?
トークを開くとツインテールの彼女と他愛もない会話をしたものだった。
でも、おかしいな、苗字も名前すら変わっていて別人のようだ。
乗っ取りか?だったら教えてあげなければ、
気になってその名前で検索したら、1本の動画が表示された。
クリックすると俺の知らない彼女がそこにいた。ライバーになっていたのだ。
ファンの前で笑顔を振りまき、耳馴染みのあるアイドルソングを歌って一生懸命に踊っている。
やめてくれそんな表情で笑いかけるな、
横でずっと見てきたのは俺なのに、
誰よりも君の歌声が好きだった。
俺の中に、どす黒いものが渦巻く。
見ていられなくなって途中で止めた。
スマホに目を落とし、メッセージを送るか逡巡する。
あのとき告白していれば、変わってたかな
今となってはどうすることもできない後悔が襲ってくる。
ええい送ってしまえ!
勢いで「アイドル活動してるんだね、すごいじゃん」と打ち、送信ボタンを押す。
遠い世界に行ってしまった彼女から返信なんてあるわけないか。
そう思って眠りについた。
ピロン
スマホの通知音で目が覚める
「そう、色々頑張ってるんだ!」
と、彼女から返信が、
朝の支度をしながら、
「応援してる」と一言、返す。
彼女のデビュー曲を聴きながら俺は今日も仕事に向かう。




