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私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
第1章 始まりのお話

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ティトの家族

見つけてくれてありがとうございます。

更新は不定期になります。出来る時に頑張ります

 コンコン


 侍女がドアノックすると、ガチャリと重厚なドアが開く音がする。


 中から扉を開けた使用人が告げる。


「奥方様と、ティーフロートお嬢様が参られました」 


 お父様を筆頭に、シュト兄様、ディア、シャルがソファに座り、今か今かと待ち構えている。


「お待たせ致しましたわ。色々と尋ねたいでしょうけれど、ティトは目覚めたばかりですから、落ち着いてくださいませ」


 お母様は、開口一番に皆に宣言した。


 「先ずはゆっくりお茶をしましょう。質問は1人ひとつまでです。ティトはこれから毎日いますわ。慌てずゆっくり過ごしましょうね」


 にっこりと微笑むお母様。


 笑顔の圧が凄くて……皆、怖くて固まってしまったわ。


「そうそう、能力の話は家族であっても明かさないのが基本です。絶対に無理に聞いてはいけませんよ?」


 お母様はさらに付け加えた。


 ——知らなかった。


 基本的に家族にすら話さないんだ……


 お父様とお母様もお互い知らないのかしら?


「まぁ、立ったままじゃなくて、とりあえず座ったらどうだ?」


(いつまでも目覚めたばかりのティトを、立たせておくのは心配だ!)


 ——お父様、ありがとう。


「そうでしたわね、ティトも座りなさい」

「はい、お母様」


 座る前に、家族の顔を1人1人見つめながら


「お父様お母様、シュト兄様、ディア、シャル、長く心労を掛けました。おかげさまでこの通り元気ですわ。ありがとうございました」


 感謝の気持ちを込めて、深々と頭を下げた。


「ティト、頭を上げなさい。まずは座って顔をよく見せてくれ」


 お父様に言われた通り、私は家族で過ごすソファの所定の位置に収まる。


 侍女が紅茶を淹れてくれたので、折角なので一口頂くと、少し緊張していたのか、紅茶の香りと暖かさにホッとした。


 ——温かいわ。


 カチリとカップが置かれる音がした。


 音をたてるなんて、珍しいなと音の主であるお父様に顔を向ける。


「(本当に無事でよかったよ。それ以外は何も謝らなくて良い。皆ティトの目覚めを待っていたんだよ)」


 お父様、心の声と話し声が被っていますわ。


「……ありがとうございます」


 本心でお話しくださっているのですね。


 すると隣から、少し慌てた様な声で


「あの!お姉様は、ご自分がどのくらいお眠りになられていたのか、ご存知なのですか?」


(お姉様の身体は、本当に大丈夫なのでしょうか?)


「姉様、凄く凄く長く眠っていたんだぞ!」


(すっごい心配したんだ。もう起きないんじゃないかって怖かったよ)


 ディアが思わず質問し、シャルも負けじと口を挟む。


「「待ちなさい、ディア!シャル!」」


 お父様とお母様の焦った声がかぶる。すると、お兄様が落ち着いた口調で


「お父様、お母様、一旦ティトと3人で話されたらいかがでしょう?私達もティトと話したいですが、弟も妹もまだ落ち着いていないので」


(多分、2人はまだ興奮してる。興味本位でティトに質問して困らせてしまいそうだ)


 ——お兄様、ナイスパスです。

 

「ありがとうございます。正直能力の話は『話していい事といけない事』を把握してないので、どう答えれば良いか分かりません」


 お父様とお母様に、一度事前にご相談したかったのです。


「そうだな、では私の執務室で話そうか」

(その方が、ティトとゆっくり話せるな♪)


「ええ、それが良さそうですわね」

(その方が、ティトとゆっくり話せますわ♪)


 お父様とお母様……似たもの夫婦だった!


「ディア、シャル、怖い思いをさせてしまってごめんなさい。心配してくれてありがとう。又後でお話ししましょうね」


 ディアとシャルは恥ずかしいのか、頬を染めコクコクと頷いてる。


 ——二人とも可愛いわ。


「お兄様、お気遣いありがとうございます」


 私が目覚めてからずっと冷静に、私が困らない様に立ち回ってくれて居る兄様には感謝だ。


「ああ、また後で」


 お兄様はニコっと、貴公子のような笑顔を見せたけど……


(うわぁ、弟と妹だけじゃ無く、僕にまで気遣いも出来るなんて!やっぱりティトは優しくていい子で可愛いなぁ)


 お兄様?!そのテンションは有りですか!?


(私の宝物がついに目覚めてくれたんだ。本当に無事で良かったー!!)


 褒めて頂けるのは有難いけど、何か聞いてはいけない声が聞こえて来ましたわ。


 この能力、使い方を間違えると……


 ——かなり精神的にダメージを受けるわ


 たとえ、好意であったとしても、諸刃の剣ですわね。


 人には、その方が努力して形成して居るイメージがある。


 それを勝手に覗き見るなんて、何だか尊厳を破壊しているような、居た堪れない気持ちになりますわ。


 残念ながら、素敵なお兄様が『スマートで素敵なお兄様だった残念な人』になってしまいましたわ……


 ——聞かなきゃ良かった。


 そうだ!誰か記憶を消せないかしら?

お兄様は一気に株を下げました。妹は兄に対して厳しかった…




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