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『以心伝心』

見つけてくれてありがとうございます。

更新は不定期になります。出来る時に頑張ります

 お父様とお母様に連れられてお父様の執務室に移動した。

 お父様の執務室はあまり入った事が無いので、ちょっとワクワクしてしまう。


 壁の棚には沢山の本と魔道具の様な物や、趣味なのか、不思議な形の置物や、規則的な動きをする何かよく分からない物もある。


 執務室にあるソファに座ると、使用人と侍女は改めてお茶を入れ直した後、部屋からそっと出ていく。


 興味の赴くまま視線を動かしていたら、お母様から注意が飛んできた。


「ティト、あちこち覗くのは、はしたないわ」

(1年分の淑女教育を学園に上がる前までには、何とかしなくては……少し詰め込まなければならないかしら?)


「……え、1年?」


「「(え?)」」


 お父様とお母様がハモる。


「え?あっ!」

 しまった!無意識で心の声に応えてしまった


 お母様は慌てた表情で

「ティト?もしかして貴方、人の心の内で考えた事が読めるの?」

(そんな能力、聞いた事が無いわ!)


「お父様、お母様、先程お母様がおっしゃっていた様に、家族でも能力は教えない物なのでしょうか?」

 それだとちょっと困ります。お父様は先程から難しい顔をしています。


(心の声が聞こえるのか?だとしたら良くも悪くも使えてしまう。聞きたく無い事も多かろう。知らない方が良い事の方が多い。大人になれば尚更だ。何とか能力を抑える様にしなければ、ティトが辛い思いをしてしまうな)


 お父様、ダダ漏れです。


 いっそ、口に出してくださいませ。


「基本的に、敢えて打ち明ける程の事ではないと言うのがこの国の在り方ね。

 この国に住む人々は、少なからず何某かの能力を宿すのよ。

 能力は曖昧な物も多くて、例えば人よりちょっと耳が良いとか、人よりちょっと力持ちとか、五感に携わる物が多いの。

 生活面においては魔法や魔道具があるから、どちらかと言えば、今は魔力の強さの方が重要視されるわね。」

 お母様は紅茶を飲んで、フッと息を吐いた。


「先程は質問責めにあってティトが疲れてしまわない様に釘を指しただけよ。基本的には親は子供の能力を知っているわ」

(いきなり能力と言われて、使い方次第では良くない物もあるから、放置なんて有り得ないわ)


 良かった。お父様もお母様も話を聞く気でいてくださったんだわ。


「それでしたら、私の能力についてご相談させて頂いても良いでしょうか?」

 まだしっかり把握出来ていないから、検証も付き合って欲しい。


「「ああ、大丈夫だ。ええ、大丈夫よ。」」


 また、ハモった。仲良し夫婦め!


 一体、何から話せば良いのだろう。

 

 そもそも、2つの能力を話すべきか悩ましい。

 

 2つ目の能力は、あまり日常に影響無さそうだから、とりあえず後で良いか……


 まずは厄介な能力から話そう。


 お父様はさっきから思考がぐるぐる巡って答えが出ないし、お母様もお父様と似た様な思考をしてる。


 まさか能力で2人が似た者同士だと知るとは思わなかったわ。

 一見真逆な癖に、基本的な考え方や行動がそっくりだったなんてね。


「私の能力は『以心伝心』です」


 お父様とお母様の動きが止まった。


 ——2人は一心同体かな?


「あの……お父様?お母様?」

 2人揃ってビクッとしないでください!


「いや、そうか、以心伝心か、そうか、心、読めちゃうのか、凄いな、不味いな、怖いよな?何とかしなきゃだな?どうすれば良いのだ?何から娘を、ま、守れば良いのだ?」

 お父様は、パニックになり、席を立ちうろうろとあるきだした。


「(旦那様、落ち着いて、しっかりしてくださいませ)」

 やっぱりお母様は流石です。


 お父様、バッとお母様を振り返ってハッとすると、その後私を見つめた。


「済まない。余りの能力に私自身が怖気付いてしまったよ。ティトや、他人の心の内が分かると言うのは、とても素敵だけど、とても辛い事なんだよ。分かるかな?」


 お父様は私に優しく傷つけない様に伝えようとしてくださいます。

 やはり、能力はさておき前世のお話はしておいた方が良さそうですね。


「お父様、実は『能力診断』で倒れた理由は、いきなり流れ込んで来た情報量の多さに問題があったのです。

 私が長く眠っていたのは、その情報の整理と記憶の統合に手間取っていたからなんです」

 情報がさから連打されて、まるでサンドバッグでした。


「流れ込んで来た情報は、私がお父様とお母様から生まれるより前に生きて、そして生を終えるまでの記憶でした。 

 今の私とは全く違う見た目で、育った環境も考え方も違う。そんな記憶だったのです」


 勢いで話をしたので、ちょっと喉が渇いたからお茶を飲む。

 お父様とお母様は、何と言葉にして良いやら困惑している。


「お父様、お母様、私の新たに増えた記憶の話を少しだけ聞いて頂けますか?」


 私はもう1人の私の過去の話をした。




皆さんは、人の心は知りたいですか?


読んで頂きありがとうございました。

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