表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/72

✽ 公爵領は国際交流の舞台となる ✽ 第59章 新しい親戚との集い


 私がプロポーズに応えたことで、私とエリックお兄様は婚約者同士になった。

 本当は八年前から婚約者だったのだが、それを大っぴらにすると、婚約を解消しないで王太子殿下と婚約したことになってしまう。そのため、それは身内だけの秘密となった。

 

 お父様は自分一人でその責を負うつもりでいたみたいだった。けれど、マックスお兄様の結婚で隣国の王家とも親戚になるので、そちらにまで迷惑をかけるのを忌避するために、皆で誤魔化すことにしたのだ。

 

 私は学園卒を業後すぐにモントーク公爵夫人になることが決まった。そのため、王家とこの国の実情、いや、その裏側も知っていた方がいいだろうという流れになった。

 そこで招待客が到着する前に、あのケンドル叔父様が作った記録石の中の音声を聞かせてもらった。

 ダメダメ国王夫妻の下でのお父様の孤軍奮闘振りがよくわかった。

 だから、やはり父を恨む気持ちは湧かなかった。私を愛してくれていたことも再確認できたし。

 ただし、娘心というか女心にかなり疎過ぎるとは思ったけれど。

 

 そしてその後でエリックお兄様から、お仲間達と進めてきたという、この国の改革計画を教えてもらった。君には秘密にしておきたくないからと言われて。

 それを聞けて本当に良かったわ。だって、知らずにいたらお兄様達のお手伝いができないものね。

 


 

 その二日後、王都から今回の主役達が到着した。

 マックスお兄様とスレッタ様、スコットお兄様とカロリーヌお義姉様。

 それからランドール公子様と婚約者のサリナ様だ。

 さらにブライトン侯爵夫妻まで。

 

 マックスお兄様とスレッタ様には、私のせいで婚約を遅くらせてしまったことを謝罪した。

 けれどお二人は、こうして私に笑顔で祝ってもらえたのだから、この日まで待った甲斐があったと言ってくれた。

 そしてスレッタ様は、これまで辛かったわね、頑張ったわねと言って私を抱き締めてくださった。

 

 私はお祖父様の葬儀でスレッタ様にお会いしていたはずなのだ。

 けれど、悲しみの中にいたために、弔問に来てくださった方に気を遣う余裕などなかったので全く記憶になかった。

 でも、お祖父様のご遺体を棺に納めるとき、泣き崩れて立っていられなかった私を支えてくれていたのは、スレッタ様だったのだとマックスお兄様から聞かされた。

 お母様やお義叔母達はお祖母様を支えるのに精一杯だったからだ。私は改めてスレッタ様にお礼を言った。

 そしてこれからもよろしくお願いしますと告げて、深く頭を下げたのだった。

 

 スレッタ様は、とても可愛らしい方だった。そして優しくて芯が強そうな素晴らしい淑女だった。こんな素敵な義姉ができるなんて、なんて幸せなのかしら。

 カロリーヌお義姉様(次兄の妻)ともすっかりすっかり意気投合しているみたいだし。

 

 スレッタ様の一つ年下の妹であるサリナ様は、姉君によく似ていたけれど、少し勝ち気そうな目をした、活発そうなご令嬢だった。

 頭脳明晰な上に眉目秀麗ではあるが、少々気弱そうなランドール公子様とはお似合いだと思った。

 サリナ様はお祖母様と会話を交わした後、真っ赤になって興奮しているのがわかった。彼女はお祖母様のファンだという。

 同じくお祖母様の熱狂的ファンである、私の専属メイドのアンとすっかり意気投合していた。見かけとは違い、人懐っこい方のようだ。

 祖母似である私にも好感を持ってくれたようなので、これから仲良くやっていけそうだと思った。

 

 そしてその翌日には、シルベルトン王国の王妃であるシェルリー殿下と、バリスコット王国の王妃であるチェルリー殿下が到着なさった。

 我が国のオリビエ王妃のお産みになった双子の元王女殿下だ。

 末の妹である、ブライトン侯爵夫人であるカタリナ様と久し振りに再会して、笑顔満開だわ。

 

 このお三方とエリックお兄様が、これから我が国を変革していくのかと思うと、見つめているだけで気持ちが高揚した。

 そしてこんな壮大な計画を立てて、長い時間を掛けて進めてきたエリックお兄様の手腕に、改めて尊敬の念を抱いた。

 もちろんその計画を利用して、五か国同盟を結ぶ流れに持ち込んだお祖母様とお父様もすごいとは思うけれど。

 

 だって現在の世界情勢は、帝国の一強状態になりつつあるのだ。このままだと帝国が周辺国家を吸収合併しそうな勢いだ。現在でも武力をちらつかせたりして、輸入品に高い税金を掛けようとしているし。

 でも、我が国を含めて五か国が手を組めば帝国に対抗できる。小国だって五か国で同盟を結べば、帝国と貿易をしなくてもほとんどの物が流通しているのだから。

 しかも、ブリテンド王国の魔石や鉄鉱石、ヤマトコクーン王国の最高級の茶葉や医薬品、我が国のワインや畜産物、シルベルトン王国の織物や紙、バリスコット王国の真珠や海産物……

 これらの特産物が手に入らなくなる帝国の方が痛手だろう。特に皇帝や貴族達は。


 なぜなら高貴な人々にとって必須な最高級ドレス生地や真珠、そしてワインお茶も買えなくなるのだから。

 そして国民の生活になくてはならない医療品や紙、魔石がなくなったら民衆の不満は高まるだろうし。

 武力に物を言わせたくても、武器にする鉄鉱石や魔石さえ入手できなくなれば、到底勝算は見込めない。そんな状態でさすがに気危険な行動は起こさないだろう。



 

 王都組に続いて、その翌日にはアベール=ヤマトコクーン国王夫妻とその次男であるロイドネス公爵夫妻、それにシャルド=ブリテンド国王夫妻が到着された。

 そしてその日の晩餐の席で、私は意外な真実を知ることとなった。

 なんと我が国とブリテンド王国、そしてヤマトコクーンの三国の間には、不文律ではあるが二十年以上前から協力関係にあったのだという。

 

 だからこそ、かつてスラレスト王国(エリックの祖国)が反乱軍によって乗っ取られ、その数年後に崩壊したとき、彼の国がこの三国によってスムーズに分割され、吸収合併されたのだ。

 そして分割された後も住民達がお互いに交流を持てたのも、この三国が話し合いをして、住民ができるだけ犠牲にならないよう、負担が掛からないようにと取った政策だったのだ。

 一部の思い上がったブルジョア階級の人間の、馬鹿げた理想論によって国が崩壊し、理不尽に引き裂かれた家族や恋人達も多かったからだという。

 

 そして晩餐が修了した後、私とエリックお兄様はお祖母様から大切な話があると言われた。

 二人でお祖母様の部屋へ向かうと、その場にはすでに両親の他に、祖母の友人である二か国の国王夫妻と、彼らの息子と娘であるロイドネス公爵夫妻が揃っていた。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ