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世界情勢エッセイ

日米首脳会談とは何だったのか? 関税25%に対して「除外申し入れ」を今更行うとは……

作者: 中将

※本稿では車の輸出にも関税となっていますが、この時点では「鉄鋼」のみだったようです。2月14日に4月2日をメドに自動車を標的とした関税を実施すると発表しています。ただし、2月14日以降の状況を踏まえると大きく変わることは無いと思われます。

◇今になって共同記者会見を振り返ると“別物”に見えてくる


筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回はトランプ大統領の「鉄鋼製品、アルミニウムに対しての関税25%」の対象に日本も入ってしまったことが、2月8日の「日米首脳会談大失敗」を物語っているのではないか? という事について語っていこうと思います。



質問者:

 ついこの間会ったばかりだったのに――あの会談は一体何だったんでしょうね……。


 友好関係はあの瞬間だけだったという事だったんですかね?



筆者:

 それも全世界の国に対して一律の関税と言うわけでは無く、例外国としてオーストラリアが検討されているようです。


 日本については特に言及も無しとのことですからね。


 今日、武藤経済産業大臣が「米国政府には、2月12日措置対象から日本企業を除外するように申し入れしている」ということなので非常に残念なことに「この間の会談は大失敗」と言っても過言では無いです。


 

質問者:

 ついに「関税戦争」の火蓋ひぶたが切って落とされた感じがしますね。


 共同記者会見では「上手く乗り切った」みたいな感じだったわけなんですけど……。


 関税除外を条件に1兆ドルの投資の約束して来たのかと思っていたんですけど……。



筆者:

 まず「上手く乗り切った」のは本当にそうだったのか? マスコミの勝手な「印象」だけだったのではないか? という事を見ていこうと思います。



 注目の場面では、アメリカの記者から石破首相に対して、


 「トランプ大統領は『関税男』で知られている。

 米国が、もし日本に関税をかけるとしたら、その報復関税をするのか?」


 という問いを投げかけました。


 石破首相は、


「アメリカでも『仮定の質問には答えられない』という答弁はあり、特段珍しくない」


 と答えました。


 それに対してトランプ大統領は


「ベリー・グッド・アンサー」を3回繰り返し「石破首相はやるべきことをわかっているようですね」


 と“絶賛した”と各紙記事にはあります。


 

質問者:

 何か、今見ると「全く違った印象」を受けますね。


 どちらかというと「アメリカにとって都合の良い答え」を“絶賛”という感じがします……。



筆者:

 僕も「具体的に関税について言われていないから大丈夫だったのかな?」と当初は判断していました。


 ただ、そもそも日本では少数与党にあまりならないほどの「歴史的な脆弱内閣」と言える存在なのに、“好待遇”でいること自体に違和感がありました。


 そのために、モヤモヤ感が抜けませんでしたね。

 

 

質問者:

 そのモヤモヤは悪い方向に行ってしまった感じですね……。



筆者:

 そもそも日本人的な「察しろ」や「答えているようで答えない答弁」はアメリカ人の方には通用しないんですね。


 “アメリカ官僚の答弁にある”とか言われてもトランプ氏は実業家出身ですから「知らねぇよ」という感じなんだと思います。


 トランプ氏は「相互関税」という考え方を取っていると日米首脳会談の共同記者会見でも話しており、互いに保護貿易をすることを「当たり前」とする価値観のようです。


 そんな中、「関税について話をスルーされた」というのは「これは相互関税を了解したんだな」と判断されてしまったという事だと思います。


 言いたいことがあるのなら正論や理念を直球勝負でぶつけていかなければ、アメリカの方は理解してくれないと思います(もしかしたら日本の政治家には正論や理念を持ち合わせていないかもしれませんが)。



質問者:

 今から鉄鋼製品、アルミニウムについて「日本を免除してくれ」という申し出は大丈夫なんでしょうか?



筆者:

 石破首相は「関税について議論が無かった」という事で今日の国会答弁を終わらせようとしています。


 ですが、先ほどの僕の分析ではトランプ大統領は「了解した」と判断されてしまっている可能性が高いために取り付く島もないのではないでしょうか?


 正直、これをケアできなかった石破首相の「大失敗外交」だと言えると思います。  


 奇跡的に関税引き上げを回避できたとしても、それは石破氏のお陰では無く――例えば石破氏とは関係が遠い麻生氏など他の影響が強く出た結果だと思います。



◇関税が引き上げられることによる影響



質問者:

 関税が仮に引き上げられてしまった場合、具体的にはどのような影響が出るのでしょうか?



筆者:

 まず、日本の対米輸出の3分の1強を占める自動車産業は当然ながら鉄鋼が含まれており、絶大なマイナス影響が出るでしょう。


 四輪車生産台数は900万台、四輪車輸出台数は442万3千台、そのうちアメリカへは148万5千台となっています。


 どうして依然として日本から輸出しているのかと言いますと、アメリカ現地の人などのコストが高く、これまでは日本から輸出した方が利益率が高かったためです。


 今後はアメリカ現地生産が促進され、アメリカ輸出分の1割以上の自動車国内生産が減る可能性もあります。

 他の生産開拓と言うのも難しいでしょうしね。



※日本が関税措置により米企業との契約が破談になった際には、日本貿易保険(NEXI)の補償対象となるそうですが、長期的な影響は避けられません。



質問者:

 大変じゃないですか……。



筆者:

 恐れていたことが起きつつあると言えます。

 

 この分だと、前々からトランプ大統領が日本に要求していた「対米基地負担の更なる要求」と「それに伴う増税」も遅かれ早かれ来ることが想定されますね。


 ただ、まだ実際に関税25%引き上げが発効されるまでは約1カ月あるようなので、

 交渉の上では「これからが本番」だと考えた方が良いと思います。


 ここで良い手が打てれば大失態のマイナスも挽回できますからね。



質問者:

 今のままだと悪い意味で「日本経済の分水嶺」になってしまうかもしれませんよね……。



筆者:

 正直、今の自民党政権を応援したくは無いですが、国益や日本経済のために挽回して欲しいところです。


 予測される「取引対象」としては農産物やこれから掘られるであろうアメリカの天然資源の輸入枠を増やすことが考えられますね。


 特に農産物はアメリカで作られた安価で質の低い大量生産品が輸入され、

 日本で生産される農作物は「稼げるように高額商品化」がされていき、日本人が食べられなくなるのです。



◇マスコミの報道姿勢にも問題



質問者:

 それはそれで嫌ですね……。


 しかし、報道では「トランプ大統領、石破氏へ好印象! 日本に対して配慮!」みたいなことばかりだった気がしたんですけど……。



筆者:

 実態は全然違ったことが分かります。


 それを本気で言っているのだとしたなら、日本のメディアそのものが「分析能力の怪しさ」を露呈していると思います。


 活字では分からない「その場の空気感」みたいなのからして、「“絶賛”とは違うのではないか?」と判断しなくてはいけないと思います。


 トランプ大統領は“会談の最後に石破首相と握手を交わさなかった“という事があったようで、「言葉通りの意味では無い」と判断するべきだったと思います。


 今のマスコミの人たちは、中継映像を見ている一般人と変わらないぐらいの取材能力だと思います。



質問者:

 確かに握手もせずに終わるというのはどうなんだろう? と言う感じはしましたよね……。



筆者:

 分析能力がまともなのにこの報道内容なのだとするのなら、日本の報道機関が「権力者側に忖度している」ということです。


 本来であれば今日だって僕のような分析をして、「日米首脳会談は大失敗だった」と言う話で溢れているはずです。


 経済産業大臣が4日前に会って12日から申し出るだなんてどう見てもゴテゴテですからね。


 こんなことになっているのは、つい昨日のエッセイで書いたばかりですけど、今もある画一的な報道をするようにと「モッキンバード作戦」みたいな情報統制がされているのではないか? と邪推してしまいます。


 

質問者:

 でも報道で操作しても事実が悲惨過ぎるとお話になりませんよね……。


 政治家もマスコミも両方がダメという事ですから……。



筆者:

 正直なところ、これは日本経済全体にとって大ピンチではありますが、「日本のうみ」が明らかになっていくという意味ではチャンスとも言えるわけです。


 後はそれをしっかりと指摘していってマスコミや既得権益、経団連などを解体することが大事なのだと思いますね。


 ということでここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は「石破首相の外交の失敗」と「マスコミの分析能力の無さ又は忖度がある」という事をお伝えしました。


 今後もこのような政治経済とメディアについて個人的な分析を行っていきますのでどうぞご覧ください。

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