表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

1



「おはようございます!今日もいい天気ですね、隊長!好きです!」

「…おはよう、ミザリー。昨日の書類は出来てるから、持って行ってくれ」

「はい!」



エインディア王国第二騎士団第一部隊において、備品係のミザリーからディルク・アヴァン隊長への告白は日常茶飯事だ。

それは告白というかもう挨拶がわりの気軽さで、訓練場や詰所、食堂でもどこでも顔を合わせる度に猪のごとく突撃してくる。

それを渋い顔してスルーするディルクを眺める、というところまでがセットで、部隊内ではちょっとしたイベントになっている。



おはようございます、お茶置いておきますね。新しい湯呑み、私とお揃いですよ!


巡回お疲れ様です、隊服のボタン外れてたのでつけておきましたよ、でも第二ボタンは私のために貰っておきました!


お先に失礼します、今日の夜ご飯は何を召し上がりますか?私、鳥のトマトシチューが得意料理なんですよ!いつ来ますか?




「後なんでしたっけ。レパートリーすごいよなあ」

「うるさいぞルパート。大体おまえ副官のくせにあいつを執務室にホイホイ入れるな」

この前は茶まで汲んでたぞ、とディルクはギロリとルパートを睨んだ。


「えー毎朝告白(あれ)を聞かないと調子でなくて…あ、ごめんなさい」

ディルクの眼光がより一層厳しくなったのでルパートは肩をすくめた。しかしまだ好奇心が勝つのか、


「それにしても毎日健気じゃないですか。ほだされちゃったりしないんですか?」と聞いてみるが

「するわけないだろ。いくつ年が離れてると思ってるんだ。あれはおっさんをからかってるだけだ」


とディルクの返事はにべもない。ちなみにディルクは31歳でミザリーは19歳だ。


「別にそこまで気になりませんけどねえ…」

それよりなんであの子もこんな強面がいいんだか…


ディルクは地位も高く男前だし、話もわかる上司ではあるが、あまり女性に好かれやすいとは言い難い外見をしている。

短く切り揃えた赤味の強い茶髪はツンツンと堅そうだし、意思の強そうな眉と髪の毛と同じ色の三白眼は野性味が強く、一見してとっつきにくい印象だ。体格も良く、日々の訓練の賜物かその長身に見合うだけの筋肉をまとっている。


しかも本人が直々に指揮をとるその訓練の厳しさもあって、毎年新人からは「赤鬼」と呼ばれている。


「おい、思ってること顔に出てるぞ」

思案顔の副官を見てデイルクの眉間の皺がさらに深くなるが、


「何も?さー今日もバリバリ働きましょー!」

常に飄々としたこの副官は颯爽と執務室を後にしたのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ