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【豪華挿絵】月と金星とステラマジカ ~ヒミツの愛情魔法~  作者: 餅餅餅
第8章 月と金星と夜間補講
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冒険録76 魔王様はとても頼りになるぞ!

「「『それだっ!!!』」」


 ゆづへの対策に頭を(なや)ませていた俺達三人は、「づーままにもからだあげるのー」という突拍子(とっぴょうし)もないルナの発言から、思いもよらない打開策に気付くのだった。


「ふわわぁびっくりっ、みんなどーしたのー?」

「ありがとね、ルナちゃん。おかげでママ達、いいアイディア思いついちゃったわ」

「そーなのー? るなすごいー?」

「うんうん、とっても凄いわよ!」

『固定観念に(とら)われない幼子の些細(ささい)な一言、これまさに天啓(てんけい)(ごと)し。ルナ(じょう)に先を()されてしまい、アドバイザーとして少々(くや)しくもあるくらいだね』

「むふぅ~」


 理由は良く解らないものの、とにかくベタ()めされたということで、ルナはオーロラ色の羽を(うれ)しそうに羽ばたかせて飛び回っている。


「……それで、実際いけそうか?」

『ふーむ…………………………』


 カレンは俺を一瞥(いちべつ)し、目を(つむ)って(こめかみ)に人差し指を当てると、羽耳をパタパタさせながら考え込む。

 ややあって安心と信頼のナコナコカリキュレーションタイムが終わると、カレンは目を再び開いてこう告げた。


『見えた! 困難ではあるが不可能ではない! キミ達の努力次第だね!』

「よぉっし! 夕とゆづのためだ、どれだけ困難だろうが全力を()くすぜ!」

「るなもおてつだいするのー!」

「パパぁ、ルナちゃん……ありがと」


 夕は俺の手をぎゅっと(にぎ)り、次いでルナの頭を指先で()でる。


「……んで具体的には、魔法で夕の分身を作る、でいいのか?」


 確か十年後では、再生医療(いりょう)技術の発達により人体の複製がほぼ可能となっており、そこへ夕の(たまちゃん)を引っ()しする手があると以前に夕は話していた。その高度な医療技術による複製を、魔法で代用すれば良いと思ったのだ。


『残念だが、それは難しい。まず第一に、人体丸ごとを無から創造するだけでも、途轍(とてつ)も無い量のリア充力を要する』

「……ああそっか、(わず)かな水を生み出すだけで三十分も消費したもんなぁ。現状の七時間かそこらじゃ、指一本作れるか(あや)しいレベルかぁ」


 リア充魔法は非常に自由度が高くほぼ万能と言えるが、ただ一点、リア充力(費用)と効果の等価(とうか)交換(こうかん)の法則には(しば)られるのだ。リア充魔法で全部簡単解決……なんて甘い考えは通用しない。


『それと、自分の身体をコピーして新たに生み出す魔法、ゆーちゃんはイメージできるかい?』

「絶対無理です。そもそもあたし、物を動かす程度の魔法すら使えませんし……ごめんなさい……」

「――夕、そんなしょんぼりすんな? 自分の幻影(げんえい)を投射するとかならまだ分かるが、現物として肉体をコピーするなんて俺も到底(とうてい)できる気がしないっての」

「う、うん」


 夕はすぐに自分を責めてしまう悪い(くせ)があるので、すかさずフォローすることが大切だ。これほどにハイスペックなのに、随分(ずいぶん)と世話の焼ける子である。


「カレンさんには、他に良い案があるんです?」

『うむ。自力でフルメイクが無理ならば、まずは素体(ベース)別途(べっと)用意してはどうだい?』

「えと……例えばマネキンみたいな等身大人形ですか?」

『半分正解。人間に限りなく近い人形が望ましいので、ここは……ホムンクルスが最適かな』


 ホムンクルス……ファンタジー漫画などで聞いた覚えはあるな。


「たしか、錬金術(れんきんじゅつ)で錬成する小さな人造人間……でしたっけ?」

『その通り。この世界では、人体組成と同じ素材を集めて錬金術――魔法で人型に組み上げ、人間を作り出そうと研究している者が少なからず居る。もちろん完成に至った者はいないがね? 何故なら――」

(たまちゃん)が無いから。……ですよね?」

『くくっ、流石は専門家だね!』


 スクリーンの向こうから、カレンがパチパチと拍手(はくしゅ)を送る。


「なるほどなぁ。どこかの錬金術師に、人間サイズの(たまちゃん)無しホムンクルスを作ってもらえば、夕の(たまちゃん)を移して――っ待てよ、移せるのか?」

『くくっ、リア充魔法ならば可能では? 何故ならばゆーちゃんは、すでに(たまちゃん)の移動を体験しているのだからね!」

「「おおー、たしかに!」」


 夕は十年後から現代へタイムトラベルする際に、ゆづという異なる身体へと(たまちゃん)を移動させて、こうして現に生活しているのだ。夕以上に(たまちゃん)の移動をイメージできる者は他に居まい。


「じゃぁゆづがこの身体に残り、夕が移動だな」

「うん。返してあげなきゃだもんね」


 元々がゆづの身体なのだ、そもそもそれが筋というものか。


「――あっ! 同じ身体じゃないと(たまちゃん)は移せないんですけど、あたしと同じDNAと脳を持ったホムンクルスなんて作れるんです?」

『わたしは錬金術に詳しくはないが……(おそ)らく困難かと思う。だがそれも、リア充魔法で調整してはどうだい?』

「そうか、夕が汎用ホムンクルスを自分の身体に作り変えたらいいんだな。一からの創造じゃなく、ほぼ完成しているものの調整だから、リア充力の消費も少ないし? ――あっ、それで素体(ベース)と言ったのか」


 カレンが鷹揚(おうよう)(うなず)く。……いやしかし、このカレンの発想力と課題解決力よな。話がトントン拍子(びょうし)に進んでいくぞ。こうして魔王様講師から夜間補講を受けられて、本当に良かったというものだ。


「むむむぅ……コピーほど難しくないとしても、(たまちゃん)の移動や調整をするとなると、やっぱりあたしの魔法の上達は必要不可欠なんですね……」

『そうだねえ、ゆーちゃん以外にはできない作業なのだから()けては通れまい。期待しているよ?』

「は、はい。頑張って練習します!」


 努力家で多才な夕のことだ、根気良く練習を続けて、必ずや上達すると信じている。


『そうだ。まずは、()()()()で練習してはどうだい? 丁度良かろう?』

「えっ……もしかして、もういけるんです?」

『短時間ならば』

「やったぁ! これは楽しみだわぁ、にしし」

是非(ぜひ)とも感想を聞かせてくれたまえよ? ククク』


 夕とカレンが、いたずらっ子のように笑い合っているが、俺には何のことやらさっぱり分からない。


「……何の話?」

「『ひ~み~つ♪』」

「ひひひーぱぱにはひみつなのー!」

「「『ね~♪』」」

「えええ……」


 また恒例(こうれい)の乙女の秘密というヤツか……まあ、夕が楽しそうだから別にいいけどさ? タネ明かしされた時は、せいぜいビックリしてあげるとしよう。




【473/473 (+8)】

今後の方針が定まってきましたね。

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