冒険録69 主人公達がついに願いの力の正体に気付いてしまった!
突然の魔王様のオンライン訪問となったのは良いが、どういうことか夕との混浴が一瞬にしてバレてしまった。もちろんカレンの人並み外れた洞察力あってこそだとは思うが、その風呂と願いの力に繋がりがあっての推理と見るべきだろうか。……もしや、ヤッス風呂の効能の一環――な訳ないか。単純に湯へ浸かると増える……うーん、それもシックリこない話だ。
「……風呂が願いの力に関係してるんだよな?」
『いや、風呂そのものは関係ない』
おっと、前提から外してたか……つまりどゆこと?
『くくく、キミは本当ににぶちんだねえ』
俺が首を捻っていると、カレンはクスクス笑いながら意味ありげに言葉をかけてきた。
「――あ、やっぱりぃ!」
『流石ゆーちゃん、よろしですし~♪』
それを聞いた夕が叫ぶと、カレンが満足気に頷いて拍手した。先ほど夕は何かに気付いた様子だったが、それが確信に変わったのだろうか。
「あーんもぉ、なんてことよ……こんな簡単な条件、なんですぐ気付かなかったのかしら……地味にしょっくだわぁ」
さらに夕はヤレヤレと首を振って、自嘲気味にそう呟いた。……むむむ、そんなに簡単な答えと……確かにカレンは、キミ達ならばすぐに気付くと最初に言っていた。
『さて、キミはどうだい?』
「うーん……」
何かヒントはないかと見回せば、お団子の上でうとうとしているルナが視界に入る。――そう言えば、ルナが寝ていても力が増えていたんだったな……あと不思議だったのが、この力を三人だけが使えること……となると、もしかして俺や夕も力を増やす要因になっているのか? だがそれは何をしたら……えーと、さっき爆上がりした時、俺らは混浴で終始ドキドキ――ってぇ、そういうこと!? いや確かに簡単な答えだけど……だけどさ!? マジデ!?
『ふふ。普段のキミは知恵が回るのに、こういうことには数テンポ遅れるねえ?』
俺が答えに思い至ったことを察したカレンが、呆れ顔でそう言って続けた。
『それでご明察の通り、そのゲージはルナ嬢だけでなく、二人の満足度もカウントされている。つまり、キミらが幸せを感じても増えるのさ! それが取り立ててどのような時になのかは……言うのは野暮というものだね?』
「「……」」
横を向いて夕と目が合うと、夕が頬を染めてツイと目を逸したので、俺も目を逸してしまう。面映ゆさの極み。
『いやあ、良いね、良いねえ! キミ達のその顔が見たかったのさ! それでこそ、黙っていた甲斐があるというものだね! くっくっく』
ちっきしょう、悪魔か! ――っ魔王だったなぁ!
『――そっれでそれでぇ~? さっきぃ~、何時間って言った~、かなかなぁ~?』
「「っ!」」
さらにカレンは画面上でこちらへ身を乗り出すと、陽キャモードになって先ほどと同じ問いかけをしてきた。魔王の無情な追撃である。……もうやめて、俺たちのライフはもうゼロよ!
『ねぇねぇ~、おっしえてぇ~?』
「なな……じかん……」「です……」
『へぇ~! へぇ~! そんっなに~溜めたんだね~! わあ~、すっごぉ~い! ――――くくくっ、キミ達もやる時はやるのだねえ、正直見直したよ!』
「ぐはっ」「あうぅ……」
先ほどと全く同じ台詞を告げる魔王様だが、力の正体を知った今となれば、その意味は全然違って聞こえる。――だあもう、急増して大喜びしていたことが、恥ずかしくてしかたねぇな!
『はあ~たのし♪』
「ハイハイ良かったな……」「カレンさんのいじわるぅ……」
俺たちをからかい尽くして、カレンはむふぅと満足気に鼻を鳴らす。本当に良い趣味をしている。魔王マジ魔王。
――っよし! どのような力であれ、現状の俺たちの最大の武器には違いないので、ここは気持ちを切り替えて真面目な話をしよう。
「んでその願いの力は――」
『待ちたまえ』
そう思って切り出したのだが、途中でカレンに遮られてしまった。
『今となれば、その名は少々味気ないと思わないかね?』
「いや、別にこのままでいいが?」
『よしよしそうだろう、わたしに任せたまえ!』
「話、聞こうな?」
夕と見合わせて、ヤレヤレと首を振る。どうせ名付けたくてしょうがないのだろう……聞くだけ聞いてあげるか。
「……で?」
『ヨロシイ、良く聞くのだよ? 願いの力、名付けるならば……』
そこでカレンは大きく息を吸うと、
『リア充力!!!』
「「!?」」
高らかにキラキラニューネームを発表し、その音声が部屋に響き渡った。
『その計器は、リア充ゲージ!!!』
「「!?!?」」
『そして発現する魔法は、リア充魔法!!!』
「だあぁぁ、なんっだそのクッソ恥ずかしいネーミングは!?」
スクリーンに映るドヤ顔の魔王様に、ツッコミせざるを得ない。こんなリア充から程遠い俺が使っていい名称ではないぞ。全日本リア充協会から不正使用で訴えられたらどうしてくれるんだ。まぁ許可されても使わんけどな!
『なんだい、わたしの命名に不満でもあるのかね? ではそのまま、らぶぱわぁ~にするかい? ――あ、言っちゃったぁ~、野暮魔婆~(てへぺろ)』
「ヤメロォォ! リア充力のがまだマシだ!」
「――はっ! らぶらぶー!?」
気になる単語が耳に入ったのか、船を漕いでいたルナまで参戦してきた。
「るなも、ままぱぱとらぶらぶするのー!」
「だぁもう!」
どんどん話がややこしくなっていくので、どうか今は寝てて欲しい!
それで夕ママへ助けを求めるべく、お隣を見れば……。
「……あたしとパパの想い……リア充力……らぶぱわぁ……フフフフフ」
あの、夕さん? それ悪くないかも、みたいな顔しないで欲しいかな? このままじゃ本当にこの名前になっちまうぞ!
【リア充力:433/433 (+6)】
あーあ、ついにバレてしまいましたね。
ラブラブして増えているとも知らず大喜びする二人を、ニヤニヤと眺め続けていた魔王様、本当にワルイ子です。




