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【豪華挿絵】月と金星とステラマジカ ~ヒミツの愛情魔法~  作者: 餅餅餅
第7章 月と金星と家族風呂
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冒険録55 ヒロインはフワフリスケを手に入れた!

 本日の就寝(しゅうしん)スタイルが川の字に大決定してしまった後、俺たちはヤスから宿について諸々(もろもろ)の説明をしてもらっていた。こうして見ると、ヤスでもそれなりに従業員やれてるんだなぁ、と少し感心する。


「――あとは風呂かな? 今日は(つか)れてるだろうし、ゆっくり(つか)かるといいよ」

「ええっ、湯船があるってことですかっ!?」「おっふろー!」

「うおとと」


 お風呂と聞いて、夕がその蒼黒(そうこく)(ひとみ)(かが)かせてヤスへグイグイ()め寄る。言われてみれば、この街は西洋風の文化なので、日本のように湯船に浸かる習慣はなさそうに思える。


「ははは、そりゃ女の子だしメッチャ気になるよね。ここの人らは大衆浴場に行くんだけど、こっからだと地味に遠いし面倒(めんどう)だなと思ってさ? そんで空いてた特大の酒樽(さかだる)を湯船代わりにしてみたら……これが結構イケル! お客さんの評判もいいんだぜ?」

「樽風呂! すごいです! ヤッスさん最高ですっ! サッスです!」


 夕はハイテンションになって拍手(はくしゅ)(たた)えている。


「ンまぁ、坊主(ぼうず)にしたら上出来だナ?」

「ぼーずもやるのー!」

「へっへ。偉大な僕をもっと()めていいんだぜぇ! さぁさぁ!」

「調子こいてんじゃネェ!」

「ふぐぁ」


 ドヤ顔で両手を広げるヤスの頭へ、バコスナックルが振り下ろされる。ここではバコスさんが代わりにツッコミ入れてくれるから楽だなぁ。


「――そうだヤッス。風呂ついでに着替(きが)えたいんだけど、何か適当に貸してくれんか?」

「イツツ……ああ、そんくらいお安い御用――ってかもう、タンスにあるの好きなん着てくれ」

「サンクス」


 ヤスとは体格も結構近いので、こういう時は助かる。


「んと、あたしが着られるのは……流石(さすが)にないですよねぇ?」


 すまなそうな顔をするヤスに、夕は自分の服をチョンと(つま)んで小さく溜息(ためいき)()らす。夕とヤスは四十㎝程も身長差があるので、無理やり着ても歩くだけでずり落ちるだろう。そもそも、ヤスの服を着させることに割と抵抗(ていこう)があるな。


「――(わし)が貸してやろうか?」

「「「えっ!?」」」


 そこで夕の体格から一番遠い人の声がかかり、一斉(いっせい)(おどろ)きの目を向ける。二mを超えるバコスさんなので、半袖(はんそで)シャツでも夕にはロングワンピースになってしまうだろう。


「……おい、儂の服じゃねぇゾ? んまぁ来ナ」


 本人の服ではないと分かり、一同ホッと息をつく。デスヨネー。

 バコスさんは隣の部屋へドスドスと入って行き、連結した奥の部屋でガサゴソした後に戻ってくると、


「嬢ちゃんにはチィと大きいかもだが……男(もん)よりゃ、ナ?」


 そう言って薄手(うすで)の白い寝巻(ねま)きを夕に(わた)してきた。


「ふわぁぁ、すんごく可愛いナイトローブ!」「ふわふわふりふりー! おそろいなのー!」


 広げられた服を見て、女の子二人が目を輝かせる。


「……でも、こんな上等な物をお借りしていいんです?」

「ウム。嬢ちゃんには()()()()()()……ダロウ?」


 ニヤリと笑うバコスさんを見て、夕は一瞬驚いた後にお礼を言うと、(うれ)しそうに服を身体に当てる。それは少し大きめだが問題ないサイズで、夕にとても良く似合いそうなんだが……気のせいか、微妙(びみょう)生地(きじ)()けてない? こんなん着て大丈夫? 主に俺がっ!!!


「いやぁ、まさかマスターにこんな趣味(しゅみ)が――」

「こんのボケ坊主がっ!」

「ぐふっ」


 いらぬ想像をしたヤスが、いつも通りゲンコツを頂戴(ちょうだい)している。


「こいつぁ昔に、宿泊客の(わけ)ぇネェちゃんが、飯代として泣く泣く置いてったんダ」

「え、食い逃げしようとして捕まったとか?」

「いやいや、ねぇだろ……」


 いくら何でも、この(いか)ついバコスさんを見て食い逃げしようとする命知らずは居まいて。


「それがナァ……今日はアタシのおごりよ! とかさんざ乱痴気(らんちき)(さわ)ぎした挙げ句、()(つぶ)れて有り金スられやがってナ? 気のいいネェちゃんだったし気の毒たぁ思ったが……まぁこちとら商売なんで、払うモンは払ってもらわネェとと」

「おうふ……」「こわぁ……」「ほへぇ」


 それは何とも恐ろしい話――というか他人事ではなく、大金を持ち歩いている俺も十分に注意しないといけないな。日本のように治安の良い国など、そうそうないのだから。




【261/261 (+2)】


このスケスケを着て一緒に寝る訳です。ええ、つまりそういうことです。

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