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【豪華挿絵】月と金星とステラマジカ ~ヒミツの愛情魔法~  作者: 餅餅餅
第6章 月と金星と豪快店主
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冒険録49 憩いの酒場がその正体を現した!

 そうしてルナの食事も済んだところで、静かになってきた店内を見回してみれば、すでにほとんどの客が帰った後だった。ヤスが空いた席から清掃(せいそう)を始めているので、そろそろ閉店時間のようだ。


「夕、いま何時?」

「えーと……あら、もう二十一時半前ね」

「む、もうそんな時間か。しまったなぁ……」


 かれこれ二時間以上も飲み食いしていたようで、楽しい時間は過ぎるのが実に早い。ちなみに終始()み続けていたホリンは、少々顔色を悪くして静かに目を(つむ)っている。悪いオトナの見本かもしれない。


「どうかしたの?」

「いや、うっかりしてたんだけどさ……宿どうするよ?」

「あ……流れのまま楽しんでてスッカリ忘れてた。困ったわぁ、土地勘(とちかん)も無いうえにこんな時間じゃ探すのは厳しそうね……」

「んむ」


 そもそもの話、高校生&小学生のペアが保護者も無しに宿に()まれるものなのか……異世界の宿事情は分からないが、少なくとも日本では拒否(きょひ)されるだろう。下手をしたら、未成年者略取を疑われて通報までありえるくらいだ。


「あ、そうだ。酒場はそろそろ閉店みたいだし、バコスさんに(たの)んで床だけでも借りるか? でもまぁ、掃除されてる木の床とは言っても、夕を地べたに寝かせるのは非常に心苦しいが……」

「んーん、そんなの平気よ。室内で守られてるってだけでも、道端(みちばた)で寝る羽目(はめ)になるよりは百倍いいでしょ?」

「それもそうか」


 二人で頷き合うと、丁度通りかかったバコスさんに声をかける。


「バコスさん、ちょっとお願いなんですが」

「なんでぃ?」

「俺達まだ王都に来たばかりで、宿の手配もしてなくて……それで、よろしければこの酒場で一泊(いっぱく)させてもらえないかと?」

「ん、オメェさんナニ言ってやがる?」


 バコスさんは(いぶか)しげにその極太の首を(ひね)る。――くっ、やはり厚かましい頼みだったか……。


「――酒場の上は宿と相場が決まっとるだろうが」


 そう思いきや、意外な答えが返ってきた。


「んなしみったれた(こた)ぁ言わず、上に泊まっていきやがれ!」

「「おおー!」」


 なんとまさかの、パン屋、酒場、宿屋の複合(ふくごう)施設(しせつ)だった! バコスさん()スゲェ!


「……あー、すまん大地! 実はさっきお客さんが来て、満室になった!」


 だがそこで、掃除(そうじ)をしに来たヤスが残念なお知らせを告げる。


「むぅ、満室じゃ仕方ないですねぇ……」

「そうなると酒場の床で――」

「いや待ちな! おい坊主(ぼうず)、今日は(わし)んとこで寝ろ! で、今すぐ部屋綺麗(きれい)にしとけ!」

「ちょ、マジ!?」

「ナンダ文句あんのか!? そもそもテメェの恩人が来とるってのに、ナニ満室にしてやがんだ! 気ぃ利かん坊主だなァ!?」

「――スンマセンッシタッ! 喜んで片付けいってきますデス!」


 ヤスは額に手を当てて敬礼すると、()け足で奥のL字階段を登って行った。……ヤス、すまぬよ。


「ヨシ、一部屋空いたナ! 宿賃なんぞ要らねぇ、泊まってけぃ!」

「ありがとうございます! それと、無理させてしまってすみません」

「ハン、気にすんな」


 ヤスには悪いことをしたが、無事に宿を確保できて一安心だ。


「あぅ……」


 そう思いきや……(となり)の夕はナゼか(ほお)()めてソワソワモジモジ落ち着かない様子だ。これは一体どういう――あ、ちょっと待てよ……一部屋ってことは、夕と同じ部屋で一緒に寝るってことだよな!? おいおい、エライことになったんじゃね!?


「うんうん~、兄妹水入らずでいいねぇ~、二人でゆっくり眠って旅の(つか)れを()やしなぁ~」

「ははは……」


 くそぉ、へべれけホリンが俺の気も知らず呑気(のんき)なことを言ってきやがる! ゆっくり眠れる訳ないだろうが! だがもう部屋はないし、かと言って「やっぱ酒場の床で寝ます」なんて到底(とうてい)言い出せる雰囲気(ふんいき)ではない……詰んだっ!


「うふふふふふ……」


 夕はもじソワから戻ったかと思えば、(あや)しげな笑みを浮かべて小さくガッツポーズしているではないか。……だあもう、不安しかないぞっ!?




【215/215 (+5)】


兄妹ですからねぇ~、くっついて寝ても大丈夫ですよねぇ~。

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