表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【豪華挿絵】月と金星とステラマジカ ~ヒミツの愛情魔法~  作者: 餅餅餅
第6章 月と金星と豪快店主
47/89

冒険録46 主人公達が熱い歓迎を受けた!

 俺たちはフロアを動き回る坊主(ぼうず)――ヤスを呼び止めると、麦酒一つとお任せでソフトドリンク二つを注文した。


「へいお待ちっと」


 するとすぐにヤスが木製ジョッキ四つを器用に運んでくると、テーブルに置いてホリンの横へ座った。ホリンとヤスのジョッキには麦酒が注がれているので、どうやらヤスも()む気らしい。対して俺と夕のジョッキには、ブドウジュースらしき(むらさき)の液体……まさかワインじゃないよな?


「んじゃ、再会を祝して――」

「新たな友好を祝して――」


 ヤスとホリンの発声に続いて、


「「「「乾杯(かんぱい)!」」」」


 四人でジョッキをカコンと打ち鳴らし、(そろ)って口を付ける。……良かった、普通のブドウジュースだ。口当たり良好でとても美味しく、(となり)の夕も顔を(ほころ)ばせている。対面のお酒組も美味(おい)しそうに(のど)を鳴らしてジョッキを(かたむ)けており、それを夕は少し(うらや)ましそうな目で見つめて……夕さん、ダメですよ?


「ぷはぁ、うんめぇ! やっぱ仕事中の酒は最高だなぁ、ホリン!」

「おうよ!」

「いやいや……」


 ヤスはもっと仕事意識を持って欲しいし、ホリンは飯の時くらい仕事意識を捨てて欲しい。どちらも別の意味で問題しかない。


「もぉ~、そんなこと言ってると、またバコスさんに(おこ)られちゃいますよぉ?」

「ん、仕事さえしてたら平気。こうしてホリンの相手をするのも仕事のうちってな?」

「ハハッ、良く言うぜ。んでもまぁ、呑み相手がいるのは純粋(じゅんすい)(うれ)しいがな」

「だろぉ?」


 たしかに、騎士団長様という特上客への接待は立派な仕事かもしれない。


「それにここからだと店が全部見える――っと注文だ」


 最奥の席で手を上げる客に気づいたヤスは、即座(そくざ)にジョッキを置いて走っていく。それはなかなかに手慣れた動きであり、バコスさんに怒られ続けて(きた)えられたのだろうな。



   ◇◇◇



 しばらく三人で雑談していたところで、手の空いたヤスが戻ってきた。次いでバコスさんが木の()()片手にのっそりと厨房(ちゅうぼう)から現れ、そのままノシノシとこちらへ真っ直ぐ近付いて来る。


「ほれ、食いナ! 名物バコス焼きだ!」


 バコスさんがそう言ってテーブルの真ん中にその()()をドンと置くと、四人の歓声(かんせい)が上がった。……小皿に見えたのはバコスさんの(うで)がデカ過ぎるためで、要はただの目の錯覚(さっかく)――いやいや、んなことある?

 そのバコス焼きは、円形で薄手(うすで)のパン生地(きじ)の上に色とりどりの野菜と肉とチーズが盛られた料理――いわゆるピザだった。


「すごぉい! バコスさん、奥に専用オーブンがあるんですか!?」


 料理好きな夕は、ピザを焼けるほどの本格オーブンがあると察して目を(かがや)かせている。


「おーぶん、ってなぁナンダ? 小僧は知っとるか?」

「初耳だな――あっ、それもユウヅの村の言葉か?」

「え……」


 オーブンが伝わらないとなると……古くからの日本語――和語や漢語は通じるが、外来語は通じないということだろうか。思い返してみれば、ホリンはビールを麦酒と言っていたし、こちらの人達は日常会話で外来語を一切使っていない。唯一(ゆいいつ)使われたのがスクロール類だが……例えば魔法に関する言葉は外来語として普及(ふきゅう)している、とか?


「――あ、はい! こちらの言葉では、石窯(いしがま)です」


 夕も同じ考えに至ったのか、すぐに言い換えて伝える。


「ン、石窯ならあるぞ。日中は麦餅(むぎもち)を焼いて売り出しとる」

「ふわぁ、素敵ですね!」


 麦餅……パンのことだな。昼はパン屋で夜は居酒屋、なかなか(めずら)しい組み合わせだ。


「――あ、そゆことぉ!」


 そこでヤスが何かに気づいたのか、隣のホリンに話しかける。


「なぁ、デートって分かるか?」

「……いや? さっきユウヅが使ってたし、村の言葉だな? どういう意味だ?」

「やっぱか。んで意味は…………仲良く遊ぶ、だね」

「なるほど。兄妹ででえと、いいことだな」


 ヤスは俺と夕を一瞬見たあと、若干意味を変えて伝えてくれた。よしよし、気が利くじゃないか。ヤスのこういうところは信頼できるんだよなぁ。


「――サ、熱いうちに食ってくんナ?」


 バコスさんの催促(さいそく)を受けて、夕が付属のナイフで手早く四つに切り分けると、(みな)で一切れずつ取って口に運ぶ。


「うんま……」「ん~おいしぃぃ!」「さすがはオヤッサンだ」「うあちちっ!」


 すると四人から口々に称賛(しょうさん)の声が飛び出した――いや、一人は火傷(やけど)の舌が飛び出した。

 それでこのピザは本当に美味しいものであり、石窯で表面がカリッカリに焼けつつも中はモッチリの生地に、深みのある良質な野菜、()めば(しる)が吹き出す肉、濃厚(のうこう)なチーズ……これは名物と呼ばれるのも分かる。こんな素晴らしい料理で歓迎してくれたとなると、俺たちはバコスさんに随分(ずいぶん)と気に入られたのかもしれない。


「ガハハ、美味(うま)そうに食ってくれんじゃぁねぇか。ヨシ、もいっちょ焼いてやんぜ!」


 皆がピザに舌鼓(したつづみ)を打つ中、バコスさんが満足気にそう言ってカウンターまで移動したところで……カランカランと来客を告げる(かね)が鳴った。




【206/206 (+2)】


自宅で本格ピザが焼けるって、何だか憧れますよね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ