表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【豪華挿絵】月と金星とステラマジカ ~ヒミツの愛情魔法~  作者: 餅餅餅
第5章 月と金星と文無一行
36/89

冒険録35 住民札の入手は難しいぞ!

 仕事熱心なホリンさんには、ヤスの友情パワーも全く通用せず、札が無ければ絶対に通せないと言われてしまった。


「……あのぉ、その住民札はどこに行けば(もら)えるのでしょうか?」


 そこで夕が一歩前に出ると、ホリンさんからの情報収集を試みる。


「おおお? この可愛いお嬢ちゃんは、あんたの……妹?」

「ままなの――っぷ」


 突然(とつぜん)ルナが胸ポケットから飛び出そうとしたので、(あわ)てて押し(もど)す。お願いだから大人しくしててな――ってイタタタ! 指をカジカジしないで!


「いま女の子の声が……ママナノ?」

「あ、あたしの声ですよ? ママナノは……村の言葉で妹って意味です!」

「ふ、む? あとちっこい何かが一瞬見えた気が……?」


 ヤバイ、じっと俺を見てる! せっかく不審者(ふしんしゃ)(あつ)いから開放されたというのに!


「ははは、俺には何も見えませんでしたが? きっとホリンさんの見間違えでは? ……随分(ずいぶん)(つか)れのように見えますよ?」


 慌てて言い訳を考えていたところ、ホリンさんの目の下に(くま)が見えたので、試しにそう言ってみた。


「ん……そうかもなぁ、ここ最近は深夜に出張(でば)る事が多くてねぇ。……そこにあんたらみたいな田舎者のややこしいのが来ると、増し増しで疲れるな? ハハハ」

「すみません……」


 どう考えても仕事の邪魔(じゃま)でしかないよな。ほんと申し訳ない。


「ん、まぁこれも好きで引き受けてる仕事だ、そう気にすんな? ――んで札だが、もし発行料が(はら)えるならここでも作ってやれるぞ?」

「発行料……あー、ちょっと待ってください」


 残念ながら現状無一文(むいちもん)なので、ひとまず一歩下がって後ろで(みな)と相談する。


「……なぁヤス、すまんがちょっとお金借りていいか?」


 日本では俺から借りる側だったヤスを逆に頼るというのも皮肉な話だが、街に入れない以上はそれ以外に手がない。


「ああ、お安い御用(ごよう)さ。ちょうど昨日給料貰ったとこで、たっぷりユニバ銀貨四十枚はあるぞ――ホイッ」


 ヤスは(こし)に付けた布袋(ぬのぶくろ)を差し出してきたので受け取れば……ジャリっと金属音がし、ずっしりとした重みが伝わってくる。


「マジ助かるわ――ってユニバ、銀貨?」


 布袋を開けば、五百円玉サイズの銀貨がぎっしり詰まっていた。


「ホリンさんがユニバース王国って言ってましたし、この国発行の銀貨ってことですね? それは円換算(かんざん)でおいくらぐらいです?」


 生憎(あいにく)と通貨が円ではないとなれば、買い物をする前に貨幣(かへい)相場(そうば)の確認は必須(ひっす)――夕もそう考えたのか先に聞いてくれた。


「んー……うちの店だとお酒三杯(さんばい)で銀貨一枚だし、千円くらいになるんかな? 他には銅貨(どうか)が十枚で銀貨一枚、鉄貨(てっか)十枚で銅貨一枚。それと金貨は銀貨百枚くらいって聞いてる――僕は見たことないけどね?」

「分かりました。おおよそで鉄貨が十円、銅貨が百円、銀貨が千円、金貨が十万円ほどの価値ですね」

 

 そうなると、このヤスのポケットマネーは四万円以上……住民札がパスポートのようなものと考えれば、流石(さすが)にこれだけあれば足りるだろう。


「……お待たせしました。二人分の発行お願いします」


 布袋片手にホリンさんへと向き直り、早速と札を購入しようとしたが……


「あいよ、発行料はユニバ銀貨()()()だ」

「よっ、四百枚っ!?」「高すぎませんかぁ!?」


 聞き間違えかと思うような額を提示されてしまった。四十万円相当……ヤスのポケットマネーでは(けた)が一つ足りない。


「いやいや、高いと言われても国で定められた額だからなぁ……間違っても値切(ねぎ)ろうなんて考えるなよ?」


 田舎者と思って高値をふっかけてきたのかと思ったが、まさかの定価……これは「もし発行料を払えるなら」という少々大げさな言葉も(うなず)ける。


「あと、街に入るにはもちろんチャージ料も要る――って、札も知らんのに分からんよな」


 俺と夕が申し訳なさそうに頷くと、門番はため息を()いて、異世界ニュービーのために解説してくれた。


「街の中に居る限り、札にチャージした魔力が少しずつ魔法陣(まほうじん)に吸収されて、街を(おお)う結界の維持に回されるんだ。あー、田舎者にも分かるように言うとだな――」

「なるほどぉ……住民全員でお金を出し合って街を護っているということで、つまり住民税みたいなものですね? それであたしらのような他所(よそ)から来た人も、滞在(たいざい)期間中にその結界の恩恵(おんけい)を受ける以上は当然料金を支払(しはら)う義務があると……公平かつ合理的で上手い仕組みだと思います。ユニバース王国の為政者(いせいしゃ)はとても優秀(ゆうしゅう)なのですね?」

「う、うむ、まさにその通りだ。……幼いのにずいぶん賢い妹だな? ろくに教育も受けられん田舎者のくせに理解早すぎない? そこのヤッスなんか、ひと月も経つのにまだ理解してなさそうなもんだぞ」

「あはは……そんなことは、ないぞ? ちゃんと分かってるからなっ?」


 ヤスはそう言いながらも、目を泳がせている。……ヤスは政経(せいけい)も万年赤点だったしなぁ。


「……で、払えるのか?」

「無理です……工面(くめん)してまた来ます」

「そうか。田舎者には正直キツイ額だとは思うが、頑張って貯めてきな。ちなみに(かべ)の外でも微妙(びみょう)に結界の恩恵があるから、もし野宿するならできるだけ壁に寄ると良い――(ほり)に落ちない程度にな?」

「親切にありがとうございます」

「ま、一応は友人の友人だ。その辺でのたれ死なれると寝覚めが悪いしよ?」

「ははは……気を付けます」


 できることなら野宿は()けたいが、やむを得ない場合はそうするとしよう。




【87/171 (+1)】


まさに字のごとく門前払いを食らってしまいました。

お金が無いと街に入れてすらくれない、世知辛いですなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ