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【豪華挿絵】月と金星とステラマジカ ~ヒミツの愛情魔法~  作者: 餅餅餅
第5章 月と金星と文無一行
35/89

冒険録34 門番は凄く仕事熱心だぞ!

 俺は門番のホリンさんから不審者(ふしんしゃ)とみなされ、(やり)()きつけられてしまった。


「おい! 言えないような所から来たってのか!」

「くっ……」


 この世界の知識が無い俺ではどうにもならない……となれば!


「ヤス! 戻ってきてくれ!!!」


 このホリンさんの友人らしいヤスに、俺の身の潔白を証明してもらうしかない。

 すると先を歩いていたヤスが気付き、首を(かし)げながら(もど)ってきてくれた。


「何してんだよ、はよ行こうぜ? ――っておいおい、待った待った!」


 ヤスは槍を構えて殺気立つホリンを見るなり、大慌(おおあわ)てで間に入って両手を()る。


「……なんだヤッス、知り合いか?」

「うん、親友。んで全然(あや)しいヤツじゃないから、とりあえず武器をしまってな?」

「む……そうか」


 ホリンさんはまだ(いぶか)しげな目でこちらを見てはいるが、ひとまず槍を手元に戻してくれた。……ふぅ、一時はどうなることかと思ったぜ。


「それでそいつらはどこの者なんだ?」

「あー、えと……日本?」

「ちょ――」


 おいバカ、それはマズイだろ!


「ニポン……一体どこ領の街だ? ユニバース王国じゃないとしたら……魔族の国か? おかしな格好もしてるしな?」


 案の定とホリンさんの目付きが一段と険しくなる。


「いやいや違う違う! あーえとその、北の森のずっと奥深くの超ド田舎の(かく)れ里で、知る人ぞ知るってやつ? んでこれは民族衣装! だよなっ?」

「そうです!」


 本当はここよりもよほど都会から来てるんだけどな?


「ふーむ……確かに森の深部は立ち入り禁止で未開の土地だな。それなら札も流通してないだろうし、知らんのも無理はないか」

「そうそう。つーわけで超~世間知らずだから、優しくしてやって欲しい!」


 随分(ずいぶん)な言われようだが、確かにこの世界に関しては世間知らずも良いところだ。


「あいよ――ってお前も世間知らずのくせに良く言うよな?」

「ははは、まぁね?」

「ふっ。まぁヤッスの親友ってくらいだ、悪いヤツじゃないんだろうよ」


 ホリンさんはヤレヤレと首を振ると、同時に鋭い目付きを和らげ、俺への警戒(けいかい)を完全に解いてくれた。ヤスの友人補正もあってか、どうやらこのでっち上げ話で納得してくれたらしい。

 そこで後ろの夕を見れば、俺に向かって両手をかざしており、もしもの時は魔法で護ろうとしてくれていたのだろう。なのでお礼を伝えつつ頭を()でてあげると、顔をでろんと(くず)して喜んでくれた。


「――んで、大地は何でこんな物騒(ぶっそう)なことに?」

「いや、住民札とやらが無くて、気付いたら不審者(あつか)いに?」

「え……ああそっか。言うの忘れてたわ、すまん!」

「ほんと頼むぜぇ……」「お願いしますよぉ……」


 タハハと笑っているヤスに(あき)れるしかない。なんとも頼りない異世界の先輩(せんぱい)だ。


「おいヤッス、つまりそいつらは札を持って無いんだな?」

「あー、そうなんだけど……ここは友達サービスで通してくんね?」

「……友達? 誰と誰が?」

「ちょ、そりゃないぜぇ! 僕は友達と思ってたんだけどっ!?」

「ハハハ、冗談(じょうだん)だ。真に受けんなって」


 ホリンさんはパンパンとヤスの背を(たた)く。その様子からすると友人の前では随分ノリの良い人に見えるので、これはワンチャンあるかと思いきや……


「――が、それはそれ、これはこれだ。札が無い者を絶対に通す訳にはいかん」


 一瞬だけ先ほどのような鋭い目付きをして、キッパリと断ってきた。


「ま、これも仕事だ。悪く思わんでくれな?」

「はい……」


 門番というのは日本での税関(けん)警察といった職にあたるだろうし、公私の区別をしっかりつけるのは当然だろう。やはりそんな甘い話はないということか。




【81/170 (+0)】


ヤスの友情ぱうわぁーも通じませんでした。ヤスですからね、シカタナイネ。

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