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【豪華挿絵】月と金星とステラマジカ ~ヒミツの愛情魔法~  作者: 餅餅餅
第4章 月と金星と悪友参上
28/89

冒険録27 記憶喪失にはショック療法だ! (挿絵付)

 別に大して(うれ)しくはないものの、カレンに引き続いて悪友ヤスと再会を果たした。ただ、記憶(きおく)喪失(そうしつ)という無駄(むだ)に面倒くさい状態異常付きではあるが。


「あー、俺は宇宙(こすも)大地(だいち)だ。本当に覚えてないのか?」

「いやぁ……なんかすまんなぁ。コスモダイチ、すごく聞き覚えはあるんだけど……ん? そうだよ、コスモだよ!」

「は?」


 宇宙(こすも)だが何か?


「コスモ神と同じ名前を名乗るとか、なかなか大それた事するよな?」

「俺が付けたんじゃねぇし、名乗りたくて名乗ってんじゃねぇよ!」

「え、本名なの? マジ?」

喧嘩(けんか)売ってんのかてめぇ!?」

「すまん!」

「ったくよ……」


 またヤスと名前ネタのやり取りをする日が来るとはな……(みょう)(なつ)かしくはあるが。

 あとまさかの異世界の神様の名前がコスモと……つまり俺は、神様とは違うがキリストやらブッダやらと名乗ってるような(おそ)れ多いイタイヤツになる訳か。そうなると、この世界では迂闊(うかつ)苗字(みょうじ)を明かさず、大地のみで通す方が賢明(けんめい)かもしれない。――まぁ、日本でもできるだけ名乗りたくないキラキラ苗字なんだけどな! 俺もタイムトラベルさせてもらって、名乗り始めた先祖をしばきに行きたいわ。


「――んじゃまぁ大地で。お前はそう呼んでたし。ちなみに、お前が高校生だったこととかは覚えてるか?」

「え、そりゃ銀ヶ丘高(ぎんこう)の三年――ん? 僕は剣士ヤッスで……あんれっ? 僕何言ってんだぁ?」


 ヤスはしきりに首を(かし)げて、自身の発言の矛盾(むじゅん)に混乱している。もしかすると、異世界に来てからの記憶とごちゃ混ぜになっているのだろうか。


「うーん……」


 これは実に面倒くさいなぁ……もう放っといたらダメかなぁ……んまぁそれは流石(さすが)にヤスでもあんまりか。一応こいつにも色々と借りがあるしな。

 そこで骸骨の残骸(ざんがい)へ目を向ければ、(もや)は依然と大人しくしているようなので、夕に助けを求めてみることにする。


「おーい夕! ちょっと来てくれるか?」

「はぁーい」


 夕が隠れている近くの木に呼びかけると、護衛(ごえい)(?)のルナと共に裏からひょっこり顔を出す。


「え、靖之(やすゆき)さん?」

「ああ。でもなんか記憶喪失っぽい」

「うそっ、一大事じゃないの!」


 そうして夕が心配そうに近寄るなり、


「うおおおぉ! なんって美しくも可愛いらしいお嬢さんだあぁぁ!」

「んえぇ!?」


 ヤスは発狂(はっきょう)して(さけ)び始めた。ある意味平常運転。


「ああ、可憐(かれん)な大木の君よ!」

「ちょ、またそれですかぁぁ!?」


 俺とヤスが夕の名前を知らなかった頃に、電柱の(かげ)から現れた夕を「電柱の君」と(しょう)して(しか)られていたのを思い出す。記憶を失っても発想は同じになるんだな……そりゃ本人だしそうか。


「あのぉ、靖之さん? 頭の(どこか)具合が悪いんですか?」


 この営業スマイルから()り出される言葉の(とげ)よな。


「ああっ! こんな僕を心配してくれるなんて……マイエンジェル!」

「ひぃっ!?」


 皮肉も全く通じず、ガバッと両手を広げて天を(あお)ぎつつ歓喜(かんき)に打ち(ふる)えるヤスに、夕は完全にドン引きしている。記憶が錯綜(さくそう)して、アホが悪化してる? ――いや、こいつは元々こんなもんだったかな。

 さらにこのアホは、夕に向かってボーリング投球ポーズをすると、


「結婚してください!!!」


 なんとプロポーズしやがった。


「絶対無理です」「てめぇ調子に乗んなよ!?」「ままはあげないのー!」

「へぶれあっ!!!」


 その瞬間、夕からの冷たい一言、俺からの宇宙(こすも)正拳(せいけん)()き、そしてルナからのフライング・ヘッドバットの三連撃(れんげき)炸裂(さくれつ)し、ヤスは宙を()うこととなった。


「……はぁぁ~。記憶がなくても相変わらずだわ……」

「それな」


 二人で(あき)れながらも、二mほど吹き飛んだヤスへと近付く。するとヤスはむくりと起き上がると、


「――はっ! この容赦(ようしゃ)ないお断りと身体の(しん)まで(ひび)無慈悲(むじひ)なパンチ! それに眉間(みけん)(する)く突き刺さる痛み――は知らんけどぉ!」


 身体をガクガク震わせて何事かを叫び始めた。……しまった、衝撃(しょうげき)でいよいよパーになったか?


「………………あれ? 大地に夕ちゃん、こんなとこで何してんの?」

「えっ! ……あの、あたしの名前は分かりますか?」

「んんん? 天野(あまの)夕星(ゆうづ)、夕ちゃんだろ?」

「ええ。思い出してくれましたか」

「おお、治ったか。良かったな」


 悪化したかと思いきや、むしろショックが効いて治ったらしい。たしかに、頭への衝撃で記憶喪失になったり、逆に治ったりというのは良く聞く話だ。そうなると、またしてもルナのお手柄(てがら)かもしれないな。よし、ヤスへは積極的に体当たりするよう教育していこう。




【140/140 (+5)】



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ハピスパ本編の挿絵ですが、参考にどうぞご覧ください。

天馬靖之

挿絵(By みてみん)

やっぱりハピスパはヤスが居ないと始まりませんね!

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