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【豪華挿絵】月と金星とステラマジカ ~ヒミツの愛情魔法~  作者: 餅餅餅
第4章 月と金星と悪友参上
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冒険録26 主人公が連続魔法を唱えた!

 ルナの大活躍(かつやく)で目の前の危機は去ったものの、相手はあのタフな骸骨なので、もちろん気を(ゆる)める訳にはいかない。それで骸骨を注意深く観察しつつ次の一手を考えていたところ、


「……え? 僕、生きて、る?」


 剣士が戸惑(とまど)いの声を上げて、キョロキョロ周囲を見回し始めた。


「ってこいつ右手どっかいってるじゃん! よっしゃぁ、今だぁ!」


 さらには丸腰(まるごし)の骸骨を見て好機と思ったのか、へっぴり腰の剣で切りかかろうとしている。――これはマズイ、ヤツは(もや)に護られて生半可な攻撃は通じない!


「油断するなっ! そいつは(ちょう)頑丈(がんじょう)で再生までする! 一旦(いったん)下がれ!」

「え? そうな――ぐふぁっ」

「なにぃぃっ!?」


 なんと骸骨から黒い(もや)が高速で飛び出すと、吹き飛んだ右手首を引き寄せ、その軌道(きどう)に居た剣士の頭へと衝突(しょうとつ)させて昏倒(こんとう)させた。


「まじかよ……」「あんなのアリぃ!?」


 骸骨に取り付く魔素(まそ)による再生のようだが、河原で見た時とは比べ物にならない速度だ。やはり薄闇(うすやみ)の中では(けた)(ちが)いの強さであり、これがこの骸骨本来の力……騎士(きし)クラスでも手を焼くという話も(うなず)ける。

 それでこちらが(あわ)てふためく中、手首が再生した骸骨は倒れた剣士に向かって骨を振り上げており、先ほどの焼き増しのような状況になってしまった。


「――っルナ! 首に飛び込めぇ!」

「はいなのー!」


 骸骨の急所は定かではないものの、知性が強さに関わるということは頭部が重要部位に違いないと推測し、向こう側で構えていたルナに向かって(さけ)ぶ。ただ、骨だけとは言っても、幼女に首を()ねさせるのは情操教育的に少々マズイ気もするが……そもそも骸骨は生物ではないし、剣士の命もかかっていることだ、大目に見てもらおう。


「【ふぇありーばれっとぉぉー!!!】」


 折り返してきたルナが骸骨の頸椎(けいつい)激突(げきとつ)し、頭部である髑髏(どくろ)をこちら側へと弾き飛ばした。

 ――よしっ、すぐに次の手を考えろ、大地! 髑髏が急所と仮定して、(もや)を破って攻撃するには…………これだ!


「――夕っ、魔法!」

「え――うんっ! 【すっごく元気になぁれ~♥】……こほん、五十よ!」


 即座(そくざ)に意図を察した夕は甘々ボイスで活力魔法をかけ、少し照れた表情の()ました声で力の残量を告げる。一で十を理解してくれて、本当に頼りになる子だ。

 黄金の光を(まと)った俺は、ゴロゴロと地面を転がってくる髑髏に向かって()け出し、それを右手で(すく)い上げながらも疾走(しっそう)する。向かう先は……剣士の手前に転がる盾!


「――の前に、まずは防御を崩すっ!」


 走りながらも髑髏の暗い眼窩(がんか)に右指二本を突っ込むと……


「きんもっ! ってイダダダダ!」


 ぬめぬめした感触(かんしょく)と共に(するど)い痛みが走り、全身に鳥肌(とりはだ)が立つ。夕の魔法がかかっていなければ、取り落としていたところだろう。


「くらえ、【閃光(フラッシュ)!】」


 すぐさま指先から光を放つイメージで詠唱すると、髑髏の内部から眩い光が(あふ)れ出し……指の痛みが和らぐと共に、髑髏を(おお)っていた(もや)霧散(むさん)した。

 

「おっし! 次は【防護(プロテクション)!】――のもっかい【防護(プロテクション)!】」


 連続で自身の右膝小僧(ひざこぞう)、次いで地面に転がる金属の盾に空いた左手を向け、防護バリアをイメージした魔法をかける。五十分の力で三回の魔法行使に足りるか不安だったが、盾も膝も無事に(あわ)く青い光を放った。――薄いが上出来だ。さぁ大技をお見舞(みま)いしてやるっ!

 即座に盾の手前で思い切り真上へ飛び上がると、曲げた右膝に髑髏を()えて真下へ向け、


「くらええぇぇぇ!!!」


 三m近い高度から金属盾中央の突起(とっき)を目掛けて垂直落下した。


 ――ゴワァァン!!!


 強化された膝と金属盾に激しく(はさ)まれた髑髏は、一際(ひときわ)大きな金属音を(ひび)かせてバラバラに(くだ)け散った。


「……どうだぁっ!?」


 飛び退()いて確認すれば、砕けた髑髏から流出した黒い(もや)は地面に広がったまま動く様子がない。胴体(どうたい)はどうなったかと目を向ければ、近くの()した剣士の前で骨を振り上げたまま棒立ちになっており、すぐに(かわ)いた音を立てて(くず)れ落ちた。どうやら予想通り髑髏部分が骸骨の(かく)だったのか、それがバラバラに砕かれれば再生できないようだ。

 

「よぉしっ!」


 俺のガッツポーズを見て夕が近寄ってきたが、まだ油断は禁物と制止の合図を送ると、ササッと木の(かげ)(かく)れてくれた。


「次は……剣士さん、大丈夫ですか!」


 昏倒していた剣士に駆け寄って、安否を確認する。


「う、うーん……あれ? 化け物は?」


 剣士はむくりと起き上がって、手首を強かにぶつけられた後頭部をさすりつつも、逆に問いかけてきた。どうやら大事に至っていないようで一安心だ。


「ヤツなら、俺が倒しました――ってえええぇ!?」


 そこで剣士の顔を間近で注視した俺は、仰天(ぎょうてん)して(さけ)ぶこととなった。 


「お前……ヤスだよな?」


 目の前の剣士は、ヤス――クラスメイトで悪友の天馬(てんま)靖之(やすゆき)だった。良く良く聞いてみれば、同じ声で同じ(しゃべ)り方をしている。


「え? ヤス……はちょっと違うぞ? 僕はヤッスという名前なんだけど?」

「はあ~!? またこのパターンかよ!? おいヤス、てめぇふざけてんじゃねぇぞ!?」

 

 カレンとは(ちが)って優しく気を(つか)い合う仲でもないので、胸ぐらを(つか)んで立ち上がらせると、容赦(ようしゃ)なく()さぶってやる。


「ちょちょちょ、たんま! 全然ふざけてなんかないし、いきなしキレ出されても困るんだけど!? ……あー、ひょっとして、僕ら知り合いだったりする?」

「……は? おいおい、まさか俺が(だれ)か分からんとでも言う気か? んな使い古しのしょうもないネタは要らんぞ?」


 どうにも様子がおかしいヤスにそう言ってはみるものの……その表情は(いぶか)しげなものであり、いつものような冗談(じょうだん)を言っている顔には見えない。


「ええと……なんだか(なつ)かしい感じはするんだけど……どちらさん、でしたっけ?」

「ちょ、マジかよぉ……」


 異世界で再会した悪友ヤスは、まさかの記憶(きおく)喪失(そうしつ)だった。




【135/135 (+15)】

第4章半ばまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。


ルナちゃん可愛いだけじゃなく強いな! 大地君の連続魔法カッコ良かったぜ! などと思われましたら、ぜひとも【★評価とブックマーク】をお願いいたします。

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