幸せな食卓
「お母さん、ただいまー!!」
「お帰りなさい、メア。町で何か遊べる所あった?」
ううむ、幼女だからか、お母さんは私が外に出るのをちょっと心配しているな。
べつに私は強いから大丈夫なんだけど、お母さんを必要以上に心配させるのは止めとこうかな?
「あのー、すみません。お、お邪魔します……」
そしてマリーさんを家に連れてきた。
私たち友達なんだから、お家に招待してもおかしくはないよね?
あと、町で色々お買い物を手伝ってもらったよ! 主にご飯の材料!
「えっ、ええと…… どちら様で?」
「お母さん、この人はマリーさん! 今日友達になったの!!」
「え? と、友達っ……!?」
私の友達宣言でマリーさんは嬉しそうな、でもやや戸惑いのような、なんか微妙な表情をしてきた。
なんだよ、私と友達になるの、微妙なの? 素直に喜ぼうよ?
あんなに後ろからギュッてしてきたくせに~!?
「えと、なんて言うか。この子を保護したというか…… いえ、友達。そうですね、友達…… が1番近い表現、なのかな……??」
なんか私との関係性をどう表現するか悩んでるみたいだ。
友達でいいじゃん、もう。
そんな事よりお腹減ったよ! ご飯にしようよ!
「お母さん、ご飯買ってきたよ! 今日は豪勢な食事にするよ!」
「メアっ、この食材どうしたの!? お金は?!」
「よし、マリーさん出番だっ!! 説明頼んだっ!!」
「えっ、ええとですね…… この子が今日、ギルドに来て・・・」
ふふん、私だけじゃ説明するの大変だと思ってマリーさんに来てもらったんだ。
町でのお買い物にも付き合ってもらったし、今も説明頼んでるし、マリーさんには感謝だね!
いつか恩返しもするよ、マリーさん♪
「──というわけで、メアちゃんが回復魔法で自力でお金を稼いできたんですよ」
「まあ、そんな事が…… ご迷惑をお掛けしたようですみません」
「いえ、迷惑だなんてそんな。むしろあれだけの回復、本来ならもっとお金を払うべきなんですよ」
おおう、そうなのか? でも人助けでそこまで大金を取るのはちょっと気が引けるなぁ。
なんというか、魔法少女的には困ってる人を助けるのはやって当たり前の事なんだよね。
人助け絡みでの大金稼ぎなんてやりたくないし、大金稼ぐならやっぱりモンスター素材の売っ払いとかだね!
「今回のことでギルドでは冒険者たちの傷が癒えて本当に感謝してます。メアちゃんには大きな借りが出来ましたよ!」
んん? 私はさっきマリーさんに借りが出来たと思ってたのに、向こうは向こうで私に借りを作ってた気になってたらしい。
まあいいや、お互いに相手へ借りを返していけばいいよね!
相殺はとりあえずしなくていいや。
「マリーさん、ご飯作るの手伝って! お母さんもお願い! 私も手伝うから!」
せっかくのご飯なんだから皆で作ろう。
もちろんマリーさんも食卓に随伴してもらうよ!
**
「お母さん、遠慮しちゃダメ! もっとお肉とか食べるのっ!!」
「そうですね。メアちゃんはあなたの為にお金を稼いできてましたよ? ここで遠慮するのは良くないですよ」
楽しい食事、お母さんと新しく出来たお友達を交えての食卓。
うん、お金を稼いできて良かったよ、みんなでこうして笑い合えてる。
きっとこれからも、こんな風に過ごしていけるようになるよ!
「あの、ところで一つだけお尋ねしたい事があるのですが…… 構わないでしょうか?」
ううん? マリーさんが何やら真剣な表情になってお母さんに尋ねている。
なんか不都合があるなら答えなくてもいい、無理に聞く気はない、等々。
えらく勿体ぶって話を振っているよ、一体何だろう?
「あの、もしかして…… あなたは、王妃様では御座いませんか?」