お金ガッポガポ作戦
「つまりですね、ミドルヒールが使えたら一人前、ハイヒールが使えたら一流なんですよ!」
「へぇ、ヒーラーってそんなかんじなんだ」
受付のマリーさんからこの世界のヒーラーの基準を聞く。
どうやら戦闘中にハイヒールをバシバシ使えたら立派な一流ヒーラーと言えるようだ。
エクストラ・ヒールは回復職を極めた一部の人が、パーフェクト・ヒールに至っては幻の伝説だとかなんだとか。
「ちょっといいかな? お嬢ちゃん」
なんか髭を生やしたお爺ちゃんが私に何か尋ねてくる。
むぅ……? このお爺ちゃん、魔力的なものを結構感じるなぁ。
「あっ、ギルドマスター!」
「おう、マリーちゃん。いつも受付ご苦労だね」
おお、なるほど…… ギルドマスターだったかお爺ちゃん。
これはお年寄りだと舐めて掛かると痛い目に合いそう。
たぶん強いんだろうなぁ、レッドさんとかよりも。
まあ、魔法少女と比べたらアレだけどね?
「お嬢ちゃんはもしかして、聖女として生まれてきたのではないかね?」
「ちょっと待ってお爺ちゃん。質問するならその前に、まずは私の方の質問から先に答えて貰える?」
幼女だと思って舐めてたら駄目だよ? お爺ちゃん!
たぶん私、お爺ちゃんよりずっと強いよ?
質問があるならば、先にこっちの質問に答えて貰おうか!!
「おおう、これはこれは手厳しい…… ふむ、良かろう。何か聞きたい事があるなら先に言ってみなさい」
ぬう? なんだ、この子供に対する大人の余裕の対応みたいな……
おのれ、負けてなるものかっ! って何の勝負してるんだ私は。
落ち着け、とりあえず聞きたいことを聞き出すんだ。
「私はお金をいっぱい稼ぎたいんです。だから、お金になる情報をくださいっ!!」
フフン。どうだ、言ってやったぞっ!! 強欲とでも何とでも言うがいい!
私はお金を稼いでお母さんに楽をさせるんだっ!!
「ふむ。お金、とな……」
お爺ちゃんが何か考え込んでる、顎髭を擦りながら。
なんか顎髭を擦りながら「ふむ」とかいう仕草、お爺ちゃんぐらいの年代ならではの仕草だよね。
私みたいな幼女の場合、何をしながら「ふむ」って言えば似合うんだろ?
「おい、ギルマス。この子はヒーラーとして俺が連れていく、それで構わないな?」
「ちょっ、何勝手に決めてるの!? 私の意思は!?」
さっきの武闘家さんが話に割り込んできて勝手な事を言い出す。
この人わりと人の話に割り込むの好きだなぁ。
でもさっきは良い人イメージあったのに、なんで勝手にそんな事決めたりとか……
「ダンジョンに行けば、お宝ガッポガポだぜ?」
「よしっ、私とパーティーを組みましょう!!」
おおう、やっぱり武闘家さんは武闘家さんだったっ!! 話が早くて助かる。さすがだね、よく分かってるよ!
ギルマスとか要らなかったんや、暢気に顎髭を擦ってる間に話終わっちゃったよ!
ダンジョン…… なんて良い響きっ! お宝いっぱい見付けてガッポガポに成りにいくよっ!!
「ちょっと待て。その子とダンジョンに行くのならおれも行くぞっ!」
なんかレッドさんが対抗してか名乗りを上げてくる。
うーん、べつに要らないかな?レッドさんは。
ダンジョンの道案内は武闘家さんだけいれば充分だよ?
「あっ、あの…… ダンジョンに行くなら私も行きます! この子は…… 私が守りますっ!!」
おおうっ!? なんかマリーさんまでがそんな事を言い出した。私を後ろからギュッてしながら。
私に守りなんて必要無いんだけど…… たぶん、仮にガチでヤバい場面あれば守るのは私の方だよ?
でも、マリーさんなら歓迎かな? 武闘家と幼女だけだったら絵面的に犯罪臭がするもんね?
「ふむ、戦士と武闘家と魔法使いと回復職か。王道のメンバーじゃな?」
ん? 私の本職は回復職じゃなくて魔法少女なんですけど……
まあいいか。それよりマリーさんは魔法使いなんだね。
私と同じ魔法使い仲間っ! これは友達になるしかないね!
早速ダンジョンに行く予定を立てて、今日の所は解散した。
そういえばなんか聞かれてたような気がするけど、なんだったっけ?
なんか評価貰えてビックリ!! えっ、マジで?!?