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第7話 大地母神ミレーニアの加護(これって、ささやかな加護ですか?)

前回(第6話)で、盗賊との戦闘で、重症を負ってしまったトーマ。

担ぎ込まれたのは、病院(治療院)ではなく、教会?

盗賊との戦闘を終えたランカスターの騎士が馬車に駆けつけ、馬車付近の戦闘の惨状を目の当たりにする。「僅か8歳の子が、3名の盗賊を倒したのか?」感嘆の言葉を漏らす。

まだ、息のあった御者を縛り上げながら、矢傷を負った従士と共に、全速力で駆けていく馬車を見送った。


馬車は、御者席のバーダックが操る。馬車の横には、ランカスター辺境伯騎士の従士の1名が、騎馬で護衛についている。バーダックは、全速力で馬車を走らせ、ランカスターへ辺境伯領の地方都市(ランキュラス)を目指す。


馬車の中では、意識が戻らないトーマが横たわっている。

その横で、マリーナがトーマの手を握り、マリアが回復魔法(初級)を唱えていた。

「トーマしっかりしなさい、街に着いたらすぐに手当します。それまで頑張りなさい。」


盗賊にけられた腹部が内出血おこしているのか、トーマの顔が徐々に、黒ずんでくる。

かなり、危険な状態だ。医学が未熟なこの世界では、致命傷と言っても過言ではない。何しろ、元騎士が、明確な殺意をもって少年の腹部に蹴りを入れたのだ。


それでも、マリアは泣きながら、回復魔法を唱え続ける。初級の回復魔法では、内出血の回復効果は期待できないかもしれないが、それでも、唱えずにはいられない。馬車は、かなりのスピードで走ってきたため、約30分でランカスター辺境伯領の地方都市(ランキュラス)に到着。


従士がランカスター辺境伯の通行証を呈示し、馬車は直ぐに街のなかへ滑り込む。

マリアが取り乱しながら、バーダックに告げる。、

「治療院へ急いで」

「母様、目の前にある、大地母神ミレーニア様の教会で祈りを捧げるべきです。トーマは、ミレーニア様に愛されています。」マリーナが強く主張する。


マリアは一躊躇したが、ミレーニア教会で、全身が淡く輝くトーマを見た事を思い出す。


「わかりました、バーダック、ミレーニア教会に向かって下さい。マリーナあなたも、一緒に祈ってくれますか?」

「はい。トーマは、私と母様を命がけで守ってくれました。今は、私たちがトーマの為に祈りましょう」

と答えるマリーナ。


馬車から重症を負った少年が担ぎ込まれ、驚く、ミレーニア教会のシスター達。

マリアから、少年がオッドアイである事、盗賊から家族を守り、重症を負った事を聞き、トーマ達一行を暖かく迎え入れてくれた。


教会のミレーニア神像前にシーツを敷き、トーマを寝かせる。直ぐに、シスター達は、マリアマリーナと共に、トーマの回復をミレーニアに祈る。

すると、トーマの体が淡く輝き出し、苦痛に歪み、黒ずんでいた顔に赤みがさす。

そして、「スウー、スウー」と穏やかな寝息をたて始めた。どうやら、危険な状態は脱したようだ。

トーマの回復を喜ぶ、マリアマリーナ。そして、神の奇跡を目撃したシスター達は、しばし、感激して涙を流していた。


暫くたって、皆が落ち着いてから、マリアが、シスター達にお礼を言う。

「皆さま、急な来訪にも拘わらず、暖かく迎え入れて頂き、ありがとうございました。おかげ様で、息子、トーマの命が救われました。これは、ささやかですがお礼です」

と寄付金を手渡す。


年配のシスターが寄付金を受け取る

「この少年の名前は、トーマ様と仰るのですか?オッドアイの少年は、大地母神ミレーニア様の寵愛を受けて生まれてくると言われています。が、特に、ご子息は特別なご寵愛を授かっているようです。このように、ミレーニア様の吐息を受けて、全身を輝かせる少年は初めて見ました。どうか、トーマ様に、ミレーニア様のご加護がありますように」

トーマ一行を教会の外まで見送ってくれた。


その日の深夜、トーマは、ランカスター辺境伯が手配した宿泊施設で目覚めた。

(「いてて、体のあちこちが痛いけど、何とか動けるみたいだ。母様達が、ここまで運んでくれたのかな?」)

周りを見回すと、看病しながら眠ってしまったであろう、マリアマリーナの姿が目に入った。


マリアは、トーマが眠るベットにもたれかかって寝入っている。

マリーナは、ソファーで横になっていた。


外はまだ暗く、深夜のようだ。

看病してくれた、2人を起こすのも悪いと考え、2人にシーツを被せてから、トーマは、もう一度、ベットで眠りについた。


東の空がしらみ始めた頃、皆が寝入っている間にベッドを起き出すトーマ。

宿泊施設の窓からミレーニア教会が見える。

(「よし、ミレーニア様にお祈りをしてこよう」)


トーマは、宿泊施設を抜け出す。

まだ誰もいない教会に辿り着くと、ミレーニア神像に向かい朝の祈りを捧げた。


「ミレーニア様、昨日は幸運にも母様と姉様を守る事ができました。ありがとうございました。感謝いたします」


暖かい温もりと共に体が淡く輝き、完全に回復したトーマ。

重症を負ったトーマも回復し、家族(母:マリア、姉:マリーナ)も無事です。

次話、ようやく、目的地(ランカスター辺境伯領都)に到着予定です。お楽しみに。

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